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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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原題は Entre les murs
直訳すると「壁の内側」とでもいったところでしょうか。


2008年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作品。
見るのが遅すぎたくらいだ。とても面白い。

教師のフランソワを、この作品の原作者である
元教師のフランソワ・ベゴドーが怪演。
彼の実体験に基づき書いた話を映画化したもの。

同年代の日本人の学生達にもぜひ見てもらいたい作品です。
パリ20区にある中学校の、とあるクラスをリアルに
描き出した作品です。
中学校といっても、日本の6・3・3制とは大分異なるので、
このクラスの学生たちの年齢は全員同じなわけではないと思う。
13〜14歳の子供たちの話。

先に一つ残念な点をあげるとすれば、
みんな演技が別格に上手なのだが、
バカンス前のクンバの発言は、
一気にフィクションであるということを気づかせる言葉だった。
あのような台詞は、最後に全く必要のない台詞です。
あそこだけ明らかにおかしい。

しかし、それ以外は全く気になる点はない。
上記の点以外は骨の髄までドキュメンタリータッチです。
日本人の同年代の子たちが見たら、
自分の世界の狭さに愕然とすることでしょう。
だから見て欲しい。
こういう人種の坩堝的なクラスも
ちょっとパリとかNYとかいけばいくらでもあるということを。

日本人からすると新鮮なことも多々ある。
それは、みんな誰かを恐れないということにつきると思う。
何かを発言するとき、恥ずかしがったりすることはするけれど、
自分がこう思っているということを、
周りの反応をあまり気にせず、皆まずは発言してみる。
それによって誰かとの差異が際立ち、ぶつかるんだけど、
実はそんなのは当たり前で、誰もぶつかることを恐れていないし、
それほど億劫に思っていない。
だって、それは当たり前のことなのだ。
自分以外の他人は、やっぱり他人だという理解は当たり前です。
彼らはそれをわかっているし、
だからといって陰湿な苛めに発展しない。
その点はまるで大人だ。
嫌なことも案外ケロッと忘れて、切り替える。

それにしても、
教師フランソワと生徒スレイマンのぶつかりは、
日本人である私が見ると、大分後味悪いものに思うのだけど、
フランス人からすると違うのだろうか。
彼の退学は明らかに、フランソワが自分の不手際を、
いやらしい生徒代表二名によって理不尽に突かれたことにより生じた、
とても不幸な結末に思う。

スレイマンが問題児なのは確かで、
フランソワが生徒代表二名にキレた理由もわかる。
だけど、あそこは彼こそがこらえるべきところだったのだ。
フランス人らしい、話をうやむやにする切り返しがあったが、
あの点は私も生徒側につきたいと思う。
生徒代表の二名は確かにムカつく感じなのだが……。

いずれにせよ、面白い映画であった。




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この記事を出発点に、
素朴な疑問・考えをいくつか書こうと思う。


1.
いわゆるPIIGSというヨーロッパ経済の
アキレス腱からはじまった債務危機問題は、
昨年のギリシャでさわりを迎えた。
イタリア・スペインでも10年物国債の利回りが上昇し、
危険水域といわれる7%に近接。
しかし、忘れてはならないのは日本の国債発行額です。
実は日本の国債発行額はギリシャなんかより全然高い。
半端なく高い。
GDP比で212%に到達しているていたらく。↓
財務省の当該P

こんなわけのわからない借金背負って、
年金とか到底もらえない気がするのです。

今は相対的に円が強い。
1ユーロが実に97円。物凄く高い。
私がいた頃は一番ユーロが高かった頃で、
1ユーロ167円とかだった。
13日、フランス国債もアメリカの格付け会社S&Pによって
格下げされ、さしあたってユーロが上がる要素はないようだ。

でも、実はユーロは今、
対ドルに対してはそんなに下がっていない。

フランス国債格下げで、ガツンとユーロは
対ドルでも落ちた。

ユーロは確かに苦しい。
しかし素人の私が見ても、
円の状態は明らかにおかしい。高すぎる。
過大評価されている。
国債のGDP比を見てもおかしすぎる。

たぶん、ガツンと円が落ち始める時が、
そう遠くない日にくると思う。


2.
格付け会社S&P(スタンダード&プアーズ)
の会社の名前がいやらしい。
調べてみると、元はプアー出版とスタンダード統計、
という二つの会社が合体して出来た会社らしい。
それでも「中間層と貧乏人」と訳すことはできる。
中間層の痩せ細りは本当に苦しい。

3.
この記事の横に岩井克人大先生による、
アダム・スミスの「見えざる手」理論が書かれていた。
こんなの意味がない。
岩井先生は非常に著名な経済学者である。
私も『ベニスの商人と資本論』(?)だったかを読んだ。
しかし、こういう人がよってたかって、
ああだこうだ論じても、結局何も変わらないし変えられない。
「自分が変えてやろう!」という気概はもちろんない。
どこぞの大学に立派におさまっているだけだ。

政治家も同じ。
どいつもこいつも信じられないほど
いい経歴・学歴を持っているのに、
アイビーリーグを出てたりするのに
そろいもそろって役立たず。


若者もどんどん減って、
すでに65歳以上が21%を超える「超高齢化社会」
ゆえに、ありとあらゆる市場が狭まる一方。
医療業界の市場はどんどん拡がるが…
医療制度も厳しくなるばかりなので病院経営も結構大変。
医師も足りていない。
そして超円高。
内需は冷え込み、大きな会社でなくても、
どんどん海外へ出なければ死んでしまう。
よって、はじめから外国人のいい人材を雇う会社が急増。
そうでないと競争を勝ち抜けない。


正直、日本の未来はあんまり明るくない。
私はそう思っています。
いくつかの業界で強くそう感じたし、
様々な人とお話させて頂き、また現場を見、
その考えを強めた。
外国人投資家も日本市場を魅力的に感じていない。
GDPはインドにも抜かれた。
最近新聞で論じられる、
いわゆるエダノミクス、マエハラミクスの論争も
私には暗い兆候としか思えない。


だからここ3年で、
よりグローバルに生きていける実力を身につけ、
生活の拠点を日本以外の国へ移したいと思っています。
日本には年のうち3ヶ月くらいしかいない生活。
そういう生き方を目指し、必ず実現する。
そして、なんらかの形で
実際的に日本の社会に貢献したいと思う。

どこでもしたたかに笑って生きていける人間。
もちろん「生きている」というからには
誰かと関係しながら、誰かのためにも生きている人間。
場所は関係なく。
そういう生き方を目指します。



スタッフはたった13人。制作費は500万。
それでもこれだけの映画を撮ることができる。

この映画も見るのは三回目くらいです。

舞台は広島県三原市の宿祢島。

瀬戸内海に浮かぶ、とても小さな島を舞台に、
そこで暮らす一家の物語を林光の音楽で紡ぎ出す。
台詞は一切無い。
かけ声とか祭り囃子とか生活音のみ。

この映画を見ると、
映画は台詞を必要としないことがよくわかる。
私も、本来、映画とは台詞を必要としないもの、
と考えています。
佳き映画であればあるほど、台詞はいらない、
と考えている。

だから、フランス映画にありがちな台詞劇のようなものや
ウディ・アレンの映画のように小うるさい台詞の連続は、
私はあまり好みではない。

円谷幸吉の遺書が明朝体になった時にこそ
様々な感情がにじみ出てきたように、
映画も台詞をなくしてみると、逆に、
言いしれぬ感情が観るものにも伝わってくるものです。

この島の生活は本当に楽ではない。
このような生活に憧れると軽々しく言ってはいけない。
確かに風光明媚で、島から見る瀬戸内の景色は
とても綺麗です。
しかし、この容赦ない生活と自然は、
考えさせられるものがある。


人間は得てして、今の自分の境遇と、
様々なものを比較してしまう。
私もその例に漏れず、この映画を見ながら
現在の自分が置かれている状況を考えていました。


本当に、人生は簡単じゃない。
その上、刻々と状況は変化する。
私は変化を基本的には良く捉えているが、
この映画内では悲劇的方向に向かう。
もちろん、そのような変化もありうる
そんな中で、我慢強く、
そしてしっかりと大切なものを守り、
生きていくことは
辛く、厳しい道程であり、
世の中の自分以外の多くの人も
複雑な人生を生きていると思うと、

ただただ頭が下がります。

この映画からも以上のことを再確認しました。


日本映画として初めてパルムドールを受賞した作品。
第七回カンヌ映画祭、パルムドール受賞作。
その色彩美が絶賛されたという。
アカデミー賞でも、
本作を手がけた和田三造氏が衣装デザイン賞を受賞。

驚くべきはその時のカンヌの審査員たち。
ジャン・コクトー
ルイス・ブニュエル
アンドレ・バザン(映画理論の大家)
などを含む。

主役は京マチ子と長谷川一夫。
ストーリーは平安時代の横恋慕。
原作は菊池寛『袈裟の良人』

ただ、正直言って、そんなに面白い話ではない。
そして、黒澤映画でもたまにあることだけど、
何を言っているのかわからないシーンが多すぎるのだ。
もちろん大体の話は理解できる。
しかし、変な節回しと音量のせいで、
台詞をちゃんと聞き取れないし、
とても聞き取りづらい。

この映画は今からするとそんなに面白い話ではない。
確かに衣装には工夫を凝らしているが、
それ以外で見るべきものはあまりない。

京マチ子は美しいが、
彼女演じる袈裟の心が全く理解出来ない。
現代人の私からすると、
彼女の出した答えが、
とてもお粗末なものに思えてならない。
もっと他に解決策はあったはずなのに。

衣笠監督といえば、
もっと優れた作品に伝説の純粋映画『狂った一頁』がある。
学生時代に、岩本憲児先生の授業に出て、
先生がフィルムセンターでこの映画を上映すると聞いた時、
どれほど喜んだことか。
脚本には川端康成などが関わる、新感覚派映画である。

『地獄門』より『狂った一頁』をぜひ。






真下耕一監督の通称「真下三部作」の一つ。
去年のベスト10でも、取り上げましたが、
「銃と少女」をテーマにしたガンアクション。

舞台はパリ。
コルシカ出身で殺し屋のミレーユ・ブーケと
過去を無くした正体不明の女子高生、夕叢霧香が
あることをきっかけにコンビを組み、
コードネーム「NOIR」として、
殺しの仕事を請け負うようになる。

独特の世界観と静けさが好印象。

ストーリーにはいささか無理がある。
けれども、基本的に一話完結型のこの物語は
とても雰囲気が素晴らしい。
内容は殺し屋が主役なだけに、悲劇的な話が多い。

音楽の仕事もとてもいい。
これまで見たアニメの5本の指には入るだろう。


それにしても、私はこう、なんで
昭和残侠伝とかNOIRとか、
こういう蛇の道は蛇みたいな話が好きなのだろうか。

とふと思った。










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海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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