忍者ブログ
あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



短編アニメーションを制作しましたので、ぜひご覧下さい!!!
絵はいつも大変お世話になっている、甲斐瑞恵さんの作品です。

甲斐さんのHP

次作は今作での修正点を反映させ、
より完成度の高い作品に仕上げます。


それでは今年もどうぞよろしくお願いします!

PR
ついに2011年も最終日。
なんだかんだ言いつつ、
このレビューログを続けられました。
今年もたくさんの方に大変お世話になりました。
この場を借りて、心より御礼申し上げます。


いろんなことがあった一年ですが、
その総括として去年同様ベスト10を選びます。


①今年読んだ本で面白かったもの。

1位:伊藤計劃『ハーモニー』
2位:アゴタ・クリストフ『悪童日記』
3位:アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』
4位:アゴタ・クリストフ『第三の嘘』
5位:佐野眞一『東電OL殺人事件』
6位:モーリヤック『テレーズ・デスケイルゥ』(再読)
7位:安部公房『密会』(再読)
8位:ロジャー・ゼラズニー『地獄のハイウェイ』
9位:大庭みな子『三匹の蟹』(再読)
10位:大岡昇平『武蔵野夫人』(再読)

ラノベは除外しました。
アゴタ・クリストフは別格。
伊藤計劃さんも凄い。
最近は再読がとても多く、再読すれば頭に入る。
大庭みな子さんの作品は前に読んだときよりも、
乾いた印象。
大岡昇平の『武蔵野夫人』は古典的名作だけど、
今読んでもやはり面白い。


②今年見た映画で面白かったもの。

1位:佐伯清『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』
2位:佐伯清『昭和残侠伝 一匹狼』
3位:山下耕作『昭和残侠伝 人斬り唐獅子』
4位:エルマンノ・オルミ『木靴の木』
5位:金子修介『毎日が夏休み』
6位:タルコフスキー『ストーカー』
7位:ジャン=ジャック・ベネックス『DIVA』
8位:ヴィクトル・エリセ『エル・スール』
9位:ヤン・シュヴァンクマイエル『アッシャー家の崩壊』
10位:ゲオルギー・ダネリヤ『不思議惑星キン・ザ・ザ』

昭和残侠伝は大好きなシリーズで今年すべて見た。
去年、池部さんはなくなってしまったのが残念でならない。
任侠映画の頂点である。
エルマンノ・オルミやヴィクトル・エリセのように、
今年はイタリア、スペイン映画をわりと見た年です。
ヴィクトル・エリセは静謐な映画を作る。
タルコフスキー『ストーカー』は断然に原作のほうが優れている。
シュヴァンクマイエル『アッシャー家の崩壊』は
なかなかに考えられた作り。
『キン・ザ・ザ』は小気味よい。


池部さんかっこよすぎる。




③今年見たアニメで面白かったもの。

1位:神様ドォルズ
2位:NOIR
3位:狼と香辛料
4位:未来日記
5位:ましろ色シンフォニー
6位:ベン・トー
7位:バクマン(二期)
8位:銀翼のファム
9位:ジュエルペット サンシャイン
10位:神様のメモ帳

「NOIR」や「狼と香辛料」は2011年の作品ではない。
特に「NOIR」は実に10年前の作品です。
しかし、このアニメは雰囲気作り、
世界観の表現が非常に優れている。
真下耕一監督の、いわゆる「真下三部作」と呼ばれる、
「銃と少女」をテーマにしたガンアクション・アニメです。
台詞は非常に少なく、ギャグの要素は一切無い。
ストーリーには少し無理がありますが、
音楽も素晴らしく、雰囲気がとてもよい作品です。
「狼と香辛料」はラノベ原作で、商人を主役とした、
経済・商売をテーマにした優良アニメ。
「ベン・トー」も「神様のメモ帳」もラノベ原作。
ジュエルペットは三期目ですが、
今回はギャグ的要素がかなり強く、
しかもそれが大人にしかわからないギャグ。
シュールな仕上がりの回も多く、
ふざけて実写を混ぜ込んだりする演出も好印象。
「ましろ色シンフォニー」は、
みう先輩が凄すぎる。力丸さんの名演。
「神様ドォルズ」は暗い。
そしてなんといっても、op曲、ed曲が傑出している。




④今年よく聞いた音楽。

1位:アルバム『Let's dance』デヴィッド・ボウイ
2位:アルバム『渡良瀬』板橋文夫さん
3位:アルバム『High Winds White Sky』ブルース・コバーン
4位:石川智晶さんの歌。
(アンインストール、スイッチが入ったら、不完全燃焼の三曲)
5位:アルバム『Reminiscence』山中千尋さん
6位:アルバム『Paint the Sky Whih Stars』Enyaのベスト
7位:「Alone in Kyoto」Air、
アルバム『Talkie Walkie』より
8位:アルバム『Beethoven Piano Concerto #4 In G,
Op 58』 Arthur Rubinstein.
9位:『Going Home』L.A.4
10位:『Virtuoso』Joe Pass

デヴィッド・ボウイは、このアルバムから「Modern Love」
「China girl」「Cat People」なんかをよく聴いた。
高校の頃から好きなアルバムに違いはないんですが、再び。
板橋文夫さんのピアノソロはとてもよく聴いた。
「渡良瀬」だけでなく、「利根」という曲も好き。
すごく瑞々しいソロピアノ。
ブルース・コバーンはアコースティックでやはり静か。
カナダだけにジョニ・ミッチェルと似ている。
石川さんは独特の世界観をもっておられる。
山中千尋さんのこの新作にはサインしてもらい、
プチ・メッセージも頂いた。
かっこわるいけど、エンヤは通勤の時にずっと聴いていた。
なんか邪魔にならない、リラックスできる曲を聴きたくて。
Airはフランスのエレクトロニカ。最近よく聴いていた。
ルービンシュタインによるベートベンのピアノコンチェルト4番は
何度聴いても最高。
L.A.4のこのアルバムは長らく手に入らなかったジャズの名盤。
ジョー・パスも渋いジャズギター。




という感じです。

この中から、独偏大賞を選ぶと、、、、
『ハーモニー』、『毎日が夏休み』、『NOIR』、『渡良瀬』でしょう。



来年もどうぞよろしくお願いします!


1968年。新藤兼人監督。佐藤慶。中村喜右衛門。もちろん乙羽信子。太地喜和子


こないだ、NHKで太地喜和子のドキュメンタリーを見ていたのです。
タイトルは「サヨナラ、幸せは私には必要ではない」

太地喜和子は伝説的女優で最期は事故死。
前々から詳しく知りたかった女優さんなので、注目していました。
特に三国連太郎との恋は有名です。
そしてタイトルのこの言葉がグッとくるのです。

自分の追求すべき人生というものが
この頃ようやく見えかかってきた私にとって、
この言葉は非常に重要な響きをもって訴えかけてきました。

この言葉は私の様々な琴線に触れる。

例えば、大分前に雑誌、婦人公論で
いつも大石静さんのエッセーが載るのですが、
そこで、自分は作品を生んできたから、
子供はいないけど満足している、
というような趣旨の事を述べておられたこととも
私の中では関わりを持つ。
(記憶なので、若干歪めているかもしれませんが…)

「幸せ」とは複雑かつ単純なものです。
その上、人によって意味が異なる。
しかし、太地さんの言う「幸せ」が何を指しているか、
おおまかなところは私にもわかる気がします。
私自身も、太地さんの言う「幸せ」を捨てていた。
それは単純に個人の志向の問題だと思うのです。

その「幸せ」を捨てたからといって
不幸なわけでは決してない。
不幸の幸福ということもあるし、別の幸福もある。
何かを得るためには、必ず何かを捨てないといけない。
選択しないといけない。
自分にとって、愛する者を含む自分たちにとって、
何が最善の答えか、常に出来る限り早く選択しないといけない。

それでも時々は選ばなかった方の選択肢が、
とても目映く見えるものです。
でも、太地さんはひどく潔い。そこが凄く好きなのです。
寅さん映画で太地さんがヒロインの話も好きだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、本作は新藤兼人監督の作品。
言わずと知れたご存命の大監督です。

新藤監督作品も多数見ましたが、この作品は小品にして佳作。

個人的には
永山則夫事件の『裸の十九歳』
瀬戸内の島を舞台に一切の台詞を廃する『裸の島』
吉村実子の傑作『鬼婆』
等が特に印象の強い監督です。

この映画は『鬼婆』に似ている。
溝口の『雨月物語』とかとも近い、
典型的な、物の怪ものです。


戦の悲惨さは、日本人には古来から
このような形でわかっていたのだな、
とふと思いました。
なにも第二次世界大戦から悲惨さを引き出してこなくてもよい。
もっと前から、みんな戦争の凄惨さはわかっていた。
日本だけではない。
ベルイマンの映画からもわかる。
『処女の泉』『第七の封印』などから。

それが各国によって、
別々の形で伝えられているのだなあと思いました。


正月休みに、どうでしょう。




私はジブリと共に育ちました。
ジブリの処女作であるナウシカは1982年より
アニメージュに連載。
83年生まれの私にとって、
ジブリはゆりかごのようなものです。

となりのトトロも大好きですし、
ラピュタはあんまり好きではないけれど、
作品としてはやはり宮崎駿らしいなあ、と感じます。
もののけも魔女宅も。


私は思うのです。
もしも、真の監督であれば、
話も一から全部自分で作ってみたいというのが、
至極自然ではないかと。
これはなにもアニメに限ったことではない。
真にクリエイティブな人間は、
他人の作った世界の演出で満足しない。
このことを私は度々主張していると思います。

だからこそ、
ナウシカもトトロもラピュタも優れていた。
新しかった。野心的だった。

しかし、ハウルもアリエッティも、ゲド戦記も、
既存の作品を用いている。
これは明らかにジブリの衰弱を表しているし、
一目瞭然、作品が全然面白くない。

その上、いつからか芸能人を声優として使うことは
当たり前のようになっている。
ナウシカの頃やトトロの頃には、
北林谷栄さんという優れた女優を起用しているものの、
そう頻繁に見られることではなかったはずだ。
モチはモチ屋に任せるべきだ。
アリエッティの神木君は下手すぎる。
声が作品から浮いている。

ゲドを監督した宮崎さんの息子も、
アリエッティの米林さんも、
なぜ若いくせに、他人の作品を使うのか。
それにゲドのように、
原作があまりにレベルの高い作品を用いると、
小さくまとめることしか出来ない。
黒澤明が羅生門を自分のものにしたようなことは、
並の監督に出来ることではない。
それゆえゲドもアリエッティもハウルも、
作品としても小品に過ぎない。

アリエッティについて言えば、
あまりにも唐突な終わりかたなのだ。
ハウルよりは見られる、と思って私は見ていたけれど、
ここからだ、ってところでいきなり終わる。

アリエッティの終わり方はまるで、
どうしようもない問題に直面し、
そこでアリエッティがジレンマにもだえ苦しむ部分を
単に排除しただけの、残念な終わり方だと思う。

主人公である翔との淡い恋にもっと悩み、
両親にもっと反発したり、
手術の成功を祈り応援したり、
そういうもっと苦労の描写があるべきだと私は思う。

これでは、ただ異文化をお互いに撫でて、
「こういう文化の違いもあるよね」という、
虚しい結末ではないだろうか。


私はまた思う。
ジブリの絵にはもう飽きたと。
監督が変わっても常に同じ。
宮崎駿の鋳型に、誰も彼もがはめ込んでいる。
演出もなにもかも、常に同じ。


宮崎駿は確かに偉大だと思う。
しかし、同じプロダクションであろうと、
監督や人が変われば、
それぞれの個性が出てしかるべきだ。

ジブリには衰滅の相が見える。
あきらかに子供だましだ。
宮崎駿が築いた確固たるブランド力で、
新作ごとに、
これからも一定量の観客は得るだろう。
だが観客はいつまでも馬鹿ではない。
世界で評価されるのは、ジブリの中でも
結局宮崎駿の作品のみに過ぎないように、
おそらくこのプロダクションからは
さらなる個性は生まれないだろう。


たぶん、宮崎駿が偉大過ぎるのだ。
そしてジブリの人はみんな優しすぎるのだ。

ジブリで成功しようとするのではなく、
新海誠さんが『ほしのこえ』を作ったように、
ゼロから、自分自身の道を築くことが重要である。
(ただ新海さんの新作はどうもジブリの影響が感じられる…)


来たれ、アニメーション映画のマキャベリスト。



今クールで、最も異色作。
「このライトノベルがすごい!」2012年版で3位。
2011年版では5位、2010年版では8位。
スーパーダッシュ文庫なので集英社系。


物語のテーマは、半額弁当を争う闘いの話。
というかなりふざけた内容。
ラノベ原作を読んでいないので、
一体この世界観をラノベでどう表現しているだろうか。

アニメだと、スピード感とか、声優さんの力量で
とてもとっつきやすくなっている。
とりわけ、主人公佐藤洋を、
最近上り調子である下野紘さんが演じており、怪演。

ヒロインである槍水仙を伊藤茉莉也さん。
これまでにない低い声の落ち着いたキャラで新境地。


この物語の魅力は一体なんなのか。

まず、頗る日本的な物語りと言えるだろう。
スーパーで夜9時頃になると、弁当が半額になる。
その半額シールを貼り終えたところで、
腹を空かせた人々、通称「狼」達が、半額弁当を奪いあう。
我々はあの半額シールを、アプリオリに知っているが、
これはアメリカ人やヨーロッパ人には
なんのことやらわかるまい。
友達のコロンビア人に意見を聞いてみようと思う。

また、半額弁当の中にも種類があり、
そのスーパーがイチオシする半額弁当には
月桂冠のシールが貼られるのだ。
もちろん、
月桂冠半額シールの貼られた弁当を取った者こそ、
そのフィールド上での絶対の勝者である。


次に、強い者には「二つ名」がつくという設定。
ヒロインである槍水仙は、
ジュースと間違って「氷結」を買おうとしたことから
「氷結の魔女」
主人公には「変態」
主人公の従姉妹には「湖の麗人」


この物凄くスケールの小さいふざけた設定が、
馬鹿馬鹿しくて笑えるし、
スピード感が思ったより心地いい。


昨日、「家政婦のミタ」が40%超えを果たしたように、
いまのような世の中でも、面白いものは面白いと、
必ず認められるのである。
ライトノベル界は、正直言って、頭打ち観が否めない昨今だけれど、
こういう意表をついたテーマをもった、
真面目な悪ふざけも悪くないと思った。


今クールのアニメでは、三本の指に入る。


7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17 
Admin / Write
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[06/03 マスターの知人]
[03/08 桐一葉]
[12/03 あみぴろ]
[11/16 あみぴろ]
[10/19 あみぴろ]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]