あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
甲斐瑞恵さん作『チャイコン』
(甲斐さん、作品の画像をお借りします)
現在、
タンバリン・ギャラリーにて開催中の甲斐さんの個展に行ってきました!
個展タイトルの通り、アドレナリンが放出すること間違い無し。
甲斐さんの力強い勢いを、身体的に感じる、素晴らしい個展です。
以下、色々と私見で大変恐縮ですが、
甲斐さんの作品について私なりに論じて見ようと思います。
これまでの甲斐さんには、二種類作品の群があるように思っていました。
それを乱暴な言い方で分けてしまうと、
第一に、甲斐さんの精神生活を反映したかのような、
暗い情熱を湛え、それでいて知性を感じる、独特な作品群。
そして第二に、茂木健一郎さんの作品の表紙や、
文月あやさんの『まごまごたまご』の表紙などの、
どちらかというととっつきやすい、
単純化された温かい絵が特徴の作品群。
しかし、今回の『アドレナリン・ママ』は、
甲斐さんがHPで書かれているように、
新たに「ポップ」さが明らかに加わっているのです。
それは、ドットという手法にも現れていると思います。
しかも、背景や、様々な場面に用いられたドットが絶妙な効果を出し、
人物が非常に映える。
まるで浮き出ているかのような効果があります。
ギャラリー内で、遠くから作品を見ても、
描かれている人物がぐっと迫ってくるというか。
描かれている人物は、その筆致などから、甲斐さんのこれまでの、
暗い情熱を湛えた作品群に属しているのですが、
ドットや単純化された背景と合わさることにより、
すばらしい化学反応をおこし、
結果、とてもエネルギーのある作品に仕上がっているのです。
次に、甲斐さんの描く人物やテーマについて考えて見ますと、
文学ないしはクラシック音楽からインスピレーションをうけたものが、
非常に多いということに気づかされます。
今回の、個展タイトルである『アドレナリン・ママ』は
ブローディガンの詩です。
作品の主題から、甲斐さんの知性というか、精神性の深さを感じます。
そういったアプローチからも、
甲斐さんの作品を楽しむことが出来るのです。
クララ・ハスキルとは、渋い!
しかし、もちろん文学でもクラシックでもない主題の作品もあり、
私個人的には、出展されている『まあ坊』も大好きです。
というのも、ユーモアを大切にする甲斐さんの人物には、
どこか戯画のような味わいがあり、その眼差しにはペーソスが溢れているからです。
『まあ坊』には特にそれを感じます。
『男と女』も、眼差しがアルカイックな感じで印象的でした。
甲斐さんが描く人物の眼差しは、甲斐さん自身の、
力強く印象的な眼差しのような気がします。
私の中では、今回の甲斐さんの個展には、
『ユーモアと眼差し』という隠れたテーマを感じました。
展示は明日までなので、ぜひ行ってみて下さい!
素晴らしく力強い展示です。
追伸。
個人的なことを書くと。
甲斐さんの、とても真面目で、人見知りで、
愛らしいキャラクターも、ギャラリーの中で花咲いておりました。
いや〜面白かったです。
甲斐さんのプロフ写真、絶対私に撮らさせて頂きたい、
とつくづく思いました。
アニメーション化の話も今度もっとしたいです。
とにかく、アドレナリンが出っぱなしの、『アドレナリン・ママ』でした。
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海馬浬弧
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自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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