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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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世に言う、三大同人ゲームと言えば、

月姫、
ひぐらしのなく頃に、
東方Project

いずれも非常に名高い作品です。
数々のスピンオフ作品、アニメ化など、
メディアミックス展開された、
もとはあくまで同人作品。

そのうち、『ひぐらしのなく頃に』はアニメ版に
どっぷりはまり込みました。
これまでにないストーリー展開と、
その非常にブラックで過激な内容にゾクゾクしたものです。

↓レナが急に豹変する。有名な「嘘だよ!」シーン

ゲオなどでDVDか、「アニ速」と検索し、
ぜひご興味あるかたはご覧下さいませ。
とてもよく出来ているバイオレンス。
でも少し過激すぎて、また現実に起こった事件と時期が重なり、
最終回はテレビ放映されなかった。

___________

物語において、ストーリーこそ命である、
と私は確信している。

同人ゲーム。中には絵のレベルが稚拙なものも少なくない。
しかし、仮に絵を捨てても、
ストーリーが面白ければファンはつく。。
それはたとえるなら、
ピアノが下手なフジ子ヘミングさん。

さて。

三大同人ゲームの中へ、
割って入らんばかりのおもしろさを持つ、
本作『ひまわり』
iPhone/iPadアプリ版として登場。
ep1~2まで無料。
ボリュームも結構なボリュームなのに、です。

特にep2はやけに泣ける話で、
ep1を踏まえ、とてもよく考えられている。
ストーリーが非常に優れている。

この作品のせいで、私の睡眠時間はさらに削られてしまいました。
けれども、それだけの価値はあったし、
『きことわ』を読み、この作品を読み、
つくづく感じたのが、
よっぽど『ひまわり』の方が優れているということ。
この二つを比べるのは馬鹿げているし、
土俵があまりに異なっているのかもしれないけれど。
小説も当然、物語性ということを考えて欲しい。

手塚治虫の『火の鳥・望郷編』みたいだ。
ラストでアストロノーツ牧村が、
ロミを埋葬するシーンを思い出した。
本当の「果て」で、『星の王子様』を朗読しながら、
ロミの亡骸を埋葬する牧村を。


『ひまわり』はなかなかに考えさせられる、
素晴らしい作品でした。
ep3は有料なのですが、たぶん買って読むでしょう。

音楽も、佳いのです。

ひまわり










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いまさらながら『きことわ』を読みました。

この本や『苦役列車』は図書館でずっと予約待ちになっているのですが、
文藝春秋の3月号であればすぐ借りられます。
しかも当該号であれば、二作品とも読めます。
なので、私は3月号を借りてきました。

以下、率直な印象を思いつくままに書きます。
私が率直な意見を書いても、
誰も痛くもかゆくもないと思うので。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一読してまず感じたのが、一体誰のための小説だろう、
一体いつの時代の小説だろう、
ということです。
舞台は葉山とか逗子で、その舞台設定からして、
もうすでに彼女の出自を表現していると言える。

どちらがいいとは決して言い切れないけれども、
西村さんの世界と比べると、あまりに対照的で、
且つ狭い。

『斜陽』の廉価版みたいな世界観で、
彼女が提示している世界に対して、まるで親近感がわかない。
悪意のある言い方をすれば、
どこぞの、のんびりと研究に専心しながら生きてきた、
ご両親も優れた文学者である、
ある処女作家の妄想に過ぎない。
どこの金持ちの話なんだと思う。

この小説にはリアリズムが欠片もない。

確かに、小説とは、
経験豊富な人ほどいい小説が書ける、ということではない。
仮にそうであるなら、年寄りのほうが、
なべて佳い小説を書けるということになるから。
しかしながらその一方で、私たちは作家の経験も含め、
作家の作品の一部として「読み」、
作品の魅力を強化する。

経験は説得力であり、あることを語る権利です。

そういう意味では、西村さんの場合というか、
太宰治を頂点とする「私小説」書きの場合、
逆にその私生活上経験したことの、
語る権利に頼りすぎている傾向はあると思う。
まあそれは今回は置いておいて。

経験豊富である必要は全くないのです。
しかしながら、核となるような、なにがしかの、
その人にとっての重要な「経験」は、私は必要だと思う。

『きことわ』は読んでいて、
朝吹さんが書かざるを得ない、その必然性を全く感じない。
どういった読者を想定しているのか、全くわからない。
どうでもいい小さなことを、ちょんちょん突いているだけで、
とても小さな悩みを、やけに大事みたいに扱っている、
はっきり言えば作家それ自体の小ささの証左以外のなにものでもない。

なるほど、
確かに私も上手いな、と思う点はところどころあります。
とりわけ、料理の描写は優れていて、
味覚に訴えかけてくるものは少なくない。

しかし、それが一体なんなのか?
選評を読んでさらにがっかりなのですが、
それがプルーストを想起するとかしないとか、
そんなのは関係ない。
失われた時間がどうとか、そんなのはどうでもいい。

作家が書いた作品である限り、
なにかしらの必然性を感じさせる作品であり、
そしてなおかつ、
現代という時代にどこか関わっている作品でないといけないと、
私は考えています。
別に、私は社会にコミットしろとか、
そういうことを言っているのでは全くない。

貴重な紙面を割いて載せるべき作品である限り、
現代の読者を想定して書け、と言っているのです。

こんなガラス玉遊戯は必要ない。
それに、
あえて彼女の表現で言う必要のないことを書いていると思う。
なぜかというに、彼女が言いたいことは、
万人が万人の言葉で既知すぎることに過ぎないからです。

いま、このことを作品として主張することに、
一体どういう意味があるのか。
一瞬という時に、様々な時間の層が折り重なって、
混じり合い…
ということに、集中できる人が一体どれほどいるのか。

私はあえて言うけれども、
こんな小説で芥川賞をとってしまった朝吹さんが、
少しかわいそうですらある。

一貫して、朝吹さんによる朝吹さんの文脈を全く出ない、
すなわち山もない谷もない、朝吹さん以外の要素が一つもない、
失敗も挫折も感じさせない、とても退屈な作品です。

確かに描写は優れていると思う。

けれども、たった一つの法則の中でしか、
生きて来られなかった彼女の単調な出自が、
残念ながら明瞭すぎるほど顕わとなっている。

お薦めできない作品でした。



安部公房は私が最も好きな作家であり、
最も影響を受けた作家でもあります。

思えば、高校時代に『赤い繭』に出会ったことがきっかけで、
安部公房を読みあさり、新潮文庫版はすべて揃えました。
私が文学に入っていくきっかけは、安部公房であったと断言できます。

本作も、すでに4回は読んだと思います。
しかし、内容の多くを忘れてしまったため、図書館で借りてきました。
私は、前に一度読んだ本については図書館で借りるようにしています。


さて、『密会』
『砂の女』ほどのスリリングさはありませんが、
第一に思ったのは、
今になってもアクチュアリティーを全く失っていないということ。
というか今こそ必要な本であるということ。
第二に、安部公房のテーマは、
ある程度同じテーマを常に追求しているということ。

ランダムに挙げてみると、
『砂の女』、『箱男』、『燃えつきた地図』、
『他人の顔』、『壁』など。
どれも似ているのですね。
もちろん、似ているけれど作品内の重心がそれぞれ違う。

よく同年代の三島と対比されるけれども、
安部公房と三島由紀夫は全く違う巨匠ですね。
河出から出ている、二人の対談などは、
たぶん10回以上は読んだ。
ある意味ライバル関係にあった二人。
安部公房、三島由紀夫は特に好きなのです。

三島が絢爛豪華な文体であるとすれば、
安部公房は素朴で、とても現代的な文体です。
(大江健三郎とか倉橋由美子のような
実存主義的な文体でもない)

作中人物が書いているノートを読む、
という形式も少なくなく、
そのせいか、ありふれているような印象の、
特徴のない文体であり、
三島なんかと比べて格段に読み易いのだけど、
この読み易さこそがくせ者で、
現代人の孤独とか乾いた日常が、
実は全き絶望に裏打ちされているのが、
文体から透けて見えてくるのです。

ほんとうに、この絶望はどこからくるんでしょう。
太宰治のような感傷主義の頂点を時には撫でながらも、
その文体は融通無碍。
三島のような素晴らしい殺し文章もあります。

安部公房はいつも、
明らかに名もない「一般人」を主人公としている。
実際、名前もない主人公が多い。
名前を無くしたり、顔を無くしたりもする。
三島は必ず、徹底的な主人公の設定があるのにもかかわらず。

三島と安部は本当に正反対な点が非常に多いと感じます。
それでいて、二人の仲は不思議な感じで。
そういう「仲」的な部分はファンからするとたまらないですよね。

『密会』はその名の通り、
「密会」に重心が置かれているけれど、
性の問題を巡って「病院」に迷い込んだ人々の、
絶望的な愛の探求がテーマとなっている。

ラストシーンが凄まじく詩的。
そのシーンに至るまでの逃亡も、なんだろう、
なんか表現悪いですが、
出来の良いライトノベルを読んでいるようなスピード感があり、
第一級の純文学なのに、
優れた漫画を読んでいるような、ドキドキ感もあり、
のめり込んでしまう。

平岡篤頼先生が書かれているように、
『箱男』は覗きの話で『密会』は盗聴の話。
箱男はホームレスで視覚の話なら、
密会は病院で聴覚の話。

「娘の頭を支えている手首のあたりに、雫がしたたった。
涙か、涎かは、分からない。」

この文章は頗る美しいです。
感動的です。想像力に直に訴えかける。
こういう文章も、文字通り独白的な文章の中に、
安部さんは鏤めている。
これこそ観照的文章です。

この機会に、一気に読み直そうと思っています。






今期のアニメでは最も面白い。
原作は『月刊少年エース』連載。
つまり、ラノベではなく、漫画であるということです。

今期はラノベ系では、いわゆる「はがない」こと、
『僕は友達が少ない』(MF文庫)
そして『ベン・トー』(スーパーダッシュ文庫)
のアニメが放映。
2011年版、このライトノベルがすごい!のベストテン中、
『僕は友達が少ない』は2位
『ベン・トー』は5位
という上位ラノベ作品です。

しかし、見てみると、どちらも小物。
パッとしないんですね。
なんか、すでに見たことのある話やアニメの二番煎じ、
三番煎じ観が否めない。
キャラクターにも全く新しいものを感じない。

そこで、「アニ速」サイト上では何が人気なのか確認してみたら、
「はがない」1位
「WORKING!!」2位
「Fate/Zero」3位
「真剣で私に恋しなさい!!」4位
でした。

「!!」がつく、ビックリマーク系のアニメが2作品ランクイン。
そして「Fate/Zero」も入っている。
「Fate/Zero」は私は1話で挫折したアニメです。
「真剣で…」は豪華声優陣を擁する、ちょっとそっち系のアニメです。


さて、そんな中、今回の標題である「未来日記」は、
「アニ速」では6位。

このアニメは、いくつか残念な点があるものの、
とても面白い部分もいくつかある。
私が特に面白いと思うのは、
ヒロインのキャラクター設定です。

我妻由乃のキャラ設定がとても新しい。
こんなにブラックなヒロインは、
『ひぐらしの鳴く頃に』以来ですね。
竜宮レナとかと近いものがある。
かなり怖いヒロインですが、そこが面白い。

正直、他の今期のアニメに出てくるキャラは、
どれもこれも三番煎じくらいのものが多い。
『ベン・トー』の通称「氷結の魔女」は長門だし。
「はがない」のヒロイン二人は、なんか見飽きたキャラで。
それに対し由乃はかなり狂っていて、
そこが面白怖くていい。

あとは、各人の持つ「未来日記」の特性が、
なかなか面白いのですが、
他方、その未来日記所有者たちの外見の設定が、
少し子供じみ過ぎているのが残念です。
もっと現実的な設定が私としては良かったです。

でも、今期のアニメでは、最も面白いです。
今後の展開も楽しみです。


1991

驚くべき小説ですね。
『悪童日記』、『ふたりの証拠』、『第三の嘘』
これら三作を持って、一応この三部作は完成する。

正直言って、こんなに凄い作品だとは、
読む前は知りませんでした。
これは絶対に必読書であり、
第一級の文学作品に間違いありません。

寡作であるのも頷ける。
こんなのを書いてしまったら、
もう他に書くべきものは何もないから。

そして、勇気づけられる作品でもあります。
全くの無名であったアゴタは、いきなりGallimardやSeuil社に
この『悪童日記』の原稿を送りつけ、
そしていつしか、各国語に訳された。
堀先生も、早川へ突如この翻訳を送り、
そして読書界に徐々にしかし確実に、旋風を巻き起こした本作。
つまり、佳い作品は必ず売れる、ということです。
乾坤一擲の傑作です。


凄い。
この作品群は凄い。
こういうのを読んでいたら、
GBの小説作品研究なんてしようと思わなかった。
全然レベルが違う。
小説家としてのレベルがあまりに違い過ぎる。

内容を語ってしまうと、
物語の良さを半減するので何もいいません。
ただただ私の漠然とした読後感をお知らせするのみです。

紛れもない天才です、アゴタは。



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海馬浬弧
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女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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