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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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2011年、「このライトノベルがすごい!」中10位にランクインされる、
『神様のメモ帳』
今をときめく電撃文庫です。

私はアニメとして見ただけで、ラノベの原作は読んでおりません。
よって、ここでは単にアニメ(全13話)の印象だけ。


まず、全体的な印象。

ラノベ原作のアニメには共通して言えることですが、
「絵」は外注となるため、
だれでもとっつきやすいニュートラルな絵となっています。
この点、漫画原作のアニメとは全く異なる。
漫画はストーリーにも絵にも、それぞれの作家の個性が当然出ますが、
ラノベ原作だと、
全く別の作家の作品にも関わらず、同じ原画家さんを使うことにより、
絵はそっくりな物語がいくつも登場することになる。

したがって、『神様のメモ帳』についても、
絵に関して言えば、特に当たり障りのないニュートラルな仕上がり。

そして、ストーリーと言えば、
要は、上部に埋め込んだ番宣通り、ニート探偵のアリスが、
部屋から一歩も出ずに、
世界を検索して事件を解決する、というもの。
この構想は悪くないけれど、具体的にどのように検索しているのか、
については全く描かれず、単にアリスが論理的思考でもって、
事件を解決しているだけに過ぎないような印象です。

また、これも最近顕著な特徴で、
以前も書いたことがあるけれど、
語調によってキャラ色を出そうとする、
安易なキャラ設定もあまりいただけない。
その上、主人公である鳴海も含め、
他のニートの奴ら(厳密にはニートではない)のキャラが薄すぎる。

キャラが濃い、というのは、好き嫌いが別れ、
多かれ少なかれ諸刃の剣である側面も確かにあります。
しかし、それでもなお、キャラが薄い、というのは、
私は「嫌い」よりも弱いと思っています。

このことは、
例えばAKBなどのアイドルについても言えることではないでしょうか。
キャラが立っている人というのが実に少ない。
キャラが明確なのは、
「性格悪い」キャラの前田さんと「キレると怖い」篠田さんくらい。
そのため、48人も理論上必要なんだと感じる。
モー娘が売れてた頃は、それぞれのキャラがもっと明確だった。

ラノベの登場人物に限らず、
色々なところでキャラが薄れていると感じる。

『神様のメモ帳』は構想悪くなかったけれど、
そういう意味では失速し、広がりに欠ける物語。
こちらは渋谷が舞台ですが、
池袋が舞台の『デュラララ!』のほうがより面白いと私は思います。




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コの映画を今まで見たことがなかったことを、
意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも、アルモドバル映画を見たことがなかったのです。

ペドロ・アルモドバル。
スペイン映画界の巨匠。
初めて見ましたが、とても「激しい」映画ですね。

スペイン語ってすごく早口。
たたみかけるような会話の連続。
興味深いのは、ラブシーンも言葉だらけということ。
思わず、笑ってしまうシーンも多数。
真面目なのか冗談なのか、よくわからないシーンも多いけれど、
でもきっと、真面目なんでしょうね、あれはあれで。

そして、ヒロインの女性が、
まず日本映画では90%ないタイプ。
今村昌平の初期作品のヒロインみたいなタイプですね。
吉村実子さんや春川ますみ、そして左幸子。
つまり、おばちゃんなんですね。

かてて加えて、性的な関係はとてもカオスなお話。
でも、最近思うのだけれど、
それもそんなに珍しいことではない。
お手伝いのフアナの経験は、見た目も関係している。

個人的に最も面白いと思ったのは、
映画内で重要な位置を占める過激なドキュメンタリー番組「頬傷」

アンドレアという、元精神分析医の女性ジャーナリストが、
様々な事件に直撃で取材し、それを実際にその場の映像と、
独特の衣装と語り口で暴いていくという、
確固たる信念を持っていない限りやらないような危険極まりない番組。
衣装は全部ゴルチエ。
この映画のジャケットが、まさに「頬傷」中のアンドレア。
一目見て、ゴルチエらしい、とても出来の佳い作品とわかる。

こういう番組は、実際にスペインで近いものがあるのでしょうか。。。
調べてもわかりませんでした。

さて、映画は様々な紆余曲折を経ますが、要はサスペンス映画。

終わりも、あくまでしたたかな、そしてあっけらかんとした、
スペイン映画です。

スペインも悪くないですね。

1966

本作『テルレスの青春』で長編デビュー。
『ブリキの太鼓』ではパルムドール、アカデミー外国語映画賞受賞。
言わずと知れたドイツを代表する映画監督。

いわゆる、「ダス・ノイエ・キノ」の監督の一人として登場。
パリの高等映画学院に学び、ルイ・マルやらアラン・レネといった、
ヌーベル・ヴァーグの監督の助監督を経験。

・・・・・・・・・・・・・・・

『テルレスの青春』を見たのは二回目です。
とても印象的な映画なので、
大体おおまかな内容は記憶していたのですが、
急に再び見たくなった。
たぶん東電OLを読んでいたせいだと思います。

ごくありふれた人間が、とても卑屈な奴隷に変貌したり、
残酷非道な怪物になりうる。
そういう精神の飛躍をとてもうまく描き出している映画。


前見たときは気がつかなかったけれど、
これは、原作がムージルだったんですね。
さすがムージルと思いました。

また、ナチスを生んだドイツにとって、
このテーマは殊に重要性を持つでしょう。

人間は、ごくありふれた人でも小さなきっかけで、
怪物にもなりうるし奴隷にもなりうる。
なんでもなしうるということ。
テルレスはその視点から、傍観者として事の次第を見つめる。

とても暗い青春。
否、本来、青春とは必ず鬱勃としたエネルギーを抱え、
暗いものなのです。

、、、個人的にはこういう男子校ものは、
ちょっと違うけれど日本にもある主題かな、と思います。
想起したのは堀辰雄『燃ゆる頬』
こういう話には、クラスの権力持ちで且つ美男。
加えて悪魔的な性格の男が必ず出てきて、
少しそっち系の要素が出てきて…みたいな。
ある意味では三島の『春の雪』も少し思い出しました。


いずれにせよ、とても興味深く面白い映画。
シュレンドフの佳作。
私は『ブリキの太鼓』より好きです。


時事ドットコム。2011/9/15
再審早期開始を要請=ネパール人受刑者家族-東電OL殺害

1997年3月8日。
渋谷区円山町にあるアパート喜寿荘の101号室。
東電エリートOL、当時すでに年収1千万あったと言われている、
渡辺泰子(39歳)が殺害された。
しかし、事件が発覚したのは、実に11日後の3月19日。
それまで彼女の骸は発見されなかった。

この殺人事件は、いかなる面からも普通の殺人事件ではない。
且つ現代を生きる我々にとって決して他人事ではない事件。
誰しもこのような状況に陥る可能性がある。
それは殺害された彼女のようになるかもしれない、
という可能性だけではなく、
犯人としてつかまったゴビンダのように、
極めて冤罪の高い事件に巻き込まれる可能性がある、
ということを私は言っています。

だから、もしも自分自身にこのような傾向があるとすれば、
それを意識化しておくためにも一読されることをお薦めします。
というかこれは絶対に必読書です。
このストレス社会で毎日摩耗している我々にとって、
どうしても読まないといけない本でしょう。


人々がまずこの事件に大きなショックを受けたのは、
渡辺泰子さんが日中はエリートOLとして生き、
そして夜は娼婦として生きていた、その生き様に対してです。
娼婦といっても、そんじょそこらのものではない。
援助交際レベルの身の投じ方ではないのです。


年収一千万の彼女が客を円山町で直引きし、
最後の時期にはたった2千円で自分を売る。
毎日仕事後に、円山町で流しの客を4〜5人とり、
必ず神泉から終電で永福へ帰る、判を押したような生活。
翌朝はもちろん東電へ出勤。
時には公園で時には駐車場の車の裏で、場所は選ばない。
その上、土日は五反田でホテトル嬢。
この信じられない自己に対する峻厳さはどこから来るのか。

極端な拾い癖とお金に対する妄執。
ラブホテルのベッドの上での何度かの脱糞。
しかも、お詫び状も格調高いお役所的な文言で作成するのも忘れない。
極端な真面目さ。
実に、彼女は二重生活などではなく、
終始一貫した、真面目で一本気な女性に思えます。


円山町の怪物はどうして誕生したのか。


この事件について私は非常に多くのことを考えさせられ、
言いたいこともたくさんあるのですが、まとまりません。

渡辺泰子さんのこと以外にも、
日本の司法や警察のあまりにもいい加減な態度には驚愕しました。
今分かったことではないけれど、
日本にあるかなり多くの組織はどうも腐っている。
こんな無茶苦茶な話はない。

この本を読めば、
渡辺泰子さんの死がどれほど多くの問題を暴き、
訴えているか身にしみる。
東電OLであった彼女の生の軌跡には
震災の東電原発問題さえ含まれていると思います。


最後になりましたが、
ゴビンダさんの再審請求が出来る限り早く通ることと、
渡辺泰子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。




ルイ・マルの傑作『恋人たち』


そのラブシーンでかかる曲が、ブラームス弦楽六重奏。


はじめてこの映画を見たとき、
なんて美しいシークエンスなんだろうと思いました。
それは後であげるシーンの抜粋だけではないのです。
なんの曲なのか調べまくって、ようやくブラームスとわかりました。
弦楽を六重奏とは珍しい。

ラブシーンが非常に多いこの映画は、
ルイ・マルの洗練された感性を遺憾なく発揮している。
私はフランス映画の監督では、殊にルイ・マルが好きです。
『死刑台のエレベーター』のマイルス。
『鬼火』のサティのジムノペディ。
そして『恋人たち』でブラームス。
余談ですが、死刑台は原作がノエル・カレフ、
鬼火はドリュ・ラ・ロシェルという、そこがまた渋いんですよ。


優れた監督は必ず選曲の達人なのです。
監督には総合的な力が求められる。
ウォン・カーウァイもそうであるように。

この映像で見ると音質があまりよくないのが残念。



何度見ても、このマイルスのインプロはたまらない。
画面を見ながらインプロで吹き込んだというから、圧巻。
『死刑台のエレベーター』より



やっぱり、ジャンヌはジャジーな女性ですね!
これらは私にとって理想のシャシンです。


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言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
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独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
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