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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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L'Amant § Minuit, 1984

70歳で書いた作品とは到底信じがたい。
まるで、うら若き女性の野心作。

私はこの小説をなめていました。
かなり有名な小説だし、映画化もされているので、
そのタイトルから、どうせありがちな植民地での恋愛もの、
告白文学に毛が生えた程度のものかと思っていた。
アニー・エルノーのとてもしょうもない、
不倫告白ブログのような『シンプルな情熱』程度だろうと。

ところが、一読、驚きました。
まずその形式面も独特のécriture courante。
すなわち、デュラスが偏愛してやまない、
滔々と水量豊かに流れるメコン川のような、すべてが混じり合った文体。
一人称と三人称、繰り返し、過去と未来、
それらが混じり合って織りなす、超時空的空間。
ひどく断片的なイメージの積み重ね。
上記したようなことは、すべて解説で清水徹先生が書かれています。
だから、実際は結構難解な物語りなのです。

タイトルに表れているのが L'Amant 、すなわち定冠詞での愛人。
特定の誰かを表すというよりは、普遍的な「愛人」なるものを、
デュラスはこの小説で模索している。

18歳ですでに年老いた、という有名な一文と共に語られる、
陥らざるを得なかった熱病のような経験。
とりわけ、あの部屋での性愛体験は、
姿を変え何度もオブセッションのごとく反芻される。


思えばデュラスは、常に「愛人」を探求している作家なのです。
傑作『モデラート・カンタービレ』、『死の病』、
映画『24時間の情事』、どれも「愛人」が主要なテーマといっていい。

何度見ても、『24時間の情事』には新鮮さを感じます。
あの出だしからの台詞群の詩的で革新的なこと!
「広島」、「ヌベール」、そして「愛人」へ。

『愛人』を経験したデュラスが「広島」での一時のアジア人の「愛人」を
想像し得たことは、よく考えれば当たり前でした。

デュラスの若かりし日の絶対的なイメージが神話化され、
そこから同心円状に生み出された物語り群。

苦しみに満ちた複雑な家庭環境。
死と絶望と闘い続けたデュラスがみたもの。

それが「愛人」なのです。



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赤坂インターシティ2F

今週はプライベートでも仕事でも会食ばかりでした。
美味しいものを食べすぎて幸福です。
本当に有難いことです。
皆様のおかげです心より感謝申し上げます。

さて、響がやっている、溜池山王の「風庭」へ火曜夜に行ってきました。
ここは二回目です。
人生の大先輩女性お二方との会食。
とても貴重でかつためになるお話を伺う事が出来、
勉強になったことはもちろんのこと、料理がとても美味しい。

まずなんと言っても、ここに来れば、
宮崎椎葉村「盛田屋豆腐店」雪肌豆腐を食べないといけない。
この豆腐がとても美味しい。まろいのです。
豆腐大好きの私としては、これはイチオシですね。

さらに、ズワイガニコロッケとか、信州の素材そのままのお野菜。
きわめつけは、新潟県中魚沼郡津南町コシヒカリ石釜炊き。
このお米は、よく行く知る人ぞ知る、定食屋さんのお米に匹敵する。
秋田の日本酒、白瀑がまたよくあうのです。

洗練されたお店ゆえ、会食、デートに使えます。
話もはずみ、とても考えさせられるお話だったので、
また泣きそうになりました。
涙腺緩みっぱなしです。


溜池山王には、ステーキで有名なLAWRY'Sとかありますが、
個人的にはあまりお薦めではありません。

ゆっくりして美味しい和食を召し上がる際はぜひ。



ls mômeとは小娘という意味で、ピアフのあだ名。
castorがボーヴォワールをさすのと同じこと。

見終わるのにすごい時間かかってしまった。
邦題は『ピアフ 〜愛の讃歌〜』

大好きな女優コティヤールが出ていて、アカデミー主演女優賞を受賞。
これはフランス女優としてはシモーヌ・シニョレ以来の快挙。


正直、映画としてはつまらない。
ありがちなダイジェスト・バイオグラフィー映画。
このご時世、偉大な生きたレジェンドがいないから、
どうもバイオグラフィーばっかり。

ピアフは確かにすごい。
あの才能豊かな、作家でかつジャズメンでもある、
ボリス・ヴィアンをして「ピアフは電話帳を歌っても泣かすことができる」
と言わせしめたほど。
(ただ、これには二重の意味があり、ヴィアン一流の皮肉ですらある)


なるほど、何度聞いても『Hymn à l'amour』は確かに泣ける。
なんていうか、これは決意の歌なんだ。
歌詞を読めば一わかる。
全く、こんな決意の歌聞いたことない。
すべて、si tu me le demandais(もしあなたがそれを望むなら)
で片付けるし、
極めつけはここでしょう。
Si un jour la vie t'arrache moi. Si tu meurs, que tu sois loin de moi. Peu m'importe, si tu m'aimes. Car moi je mourrai aussi...
(もしいつか人生が私からあなたを引きはがして、
もしあなたが死んでしまって、遠くへ行ったとしても、
そんなことは大したことじゃない、あなたが私を愛しているのなら。
なぜなら私もいつかは死ぬのだから・・・)直訳的ですみません。

これは大いなる開き直り。
私を愛しているのなら、死んでしまったとしても気にしない、
という感じが Peu m'importe というフレーズにありありと出ている。
しかも、私もどうせ死ぬ、とは恐れ入りました。


コティヤール迫真の演技も、ありふれた演出で台無し。
話の落ちどころは、例によってボクサーの恋人が飛行機事故で亡くなるくだり。

個人的には、
ピアフの「padam padam」は非常に好きです。
戸川昌子さんが、この曲を歌っているときに、
不倫相手の奥さんにつめかけられたというエピソードも好きです。



ピアフは力強い。

すべての偉大なるものは、必ず力強い。
任天堂の株がガツンと落ちている。

事の発端は3DSの不振と、1万円の値下げ。
市場は1万円の値下げに驚き、業績の先行きを不安視。
敏感に反応した形です。
あの任天堂の株が一時は一万円を割りかけた。

ゲームには学生の頃と違い、いまや興味を完全に失っています。
やってる時間ないし。
でも、この一連の出来事については思うことがあります。

岩田社長は東日本大震災を3ds不振の理由の一つにあげておりますが、
私は全然違うと思います。
いまやこういうプラットフォームはもう衰退期に入ったと思うのです。
確かに、私なんかはもろにファミコン、スーファミ世代で、
発売された時点でその衝撃をもって楽しめた世代なのですが、
今はゲームといえば、そういうハードを必要としない、
スマートフォンのアプリとか、MMORPGとか、そういう風になっていくでしょう。

つまり、ゲームをするためだけのプラットフォームを必要としない。

なので、あのとても儀式的かつ象徴的な、
ファミコンのカセットを吹くような行為はもうおしまいが近い。
ハードをまず買って、色んなカセットを買ってくる、
というような市場はどんどん狭まると思われます。

必ずしも3Dである必要なんて全くない気がする。
3Dなんてほんの子供だまし。
テレビでも3Dとか内容をちゃんと見れない気がするので、
個人的にはこの趨勢を止めて欲しい。

グリーとかがやってるゲームはもろに二次元だし。
それに、いま一番大きなゲーム市場は北米。
日本じゃない。
したがって、日本に入ってこない西欧独自のソフトがたくさんある。
そしてそっちの方でこそ、面白いソフトを作れていたりする。
だから360が伸びている。

こないだ出て話題になった3dsのゼルダ。
あれなんか、任天堂64のソフトの焼き直しだし。
スクエニも、FFあたりをIPhone用に焼き直すばっかりで、
真に新しいものを創ろうとしないというか。

こういう二番煎じ、二次創作、焼き直し傾向は、ゲーム界のみならず、
ありとあらゆるところで昨今目につく気がしてなりません。
それも悪い形で。
イケパラの前田敦子版とか典型例でしょう。
『風の谷のナウシカ』を想像できた宮崎駿はどこへ行ったんだろう。

鉄板とか言って、当たった漫画なんかを原作に、
その場しのぎの二次創作物つくってほころびだらけで、
そんな作品でいいわけない。
そんなのばっかり。

単なる焼き直しではなく換骨奪胎を。
換骨奪胎の好例を挙げるのは難しいですが。
やはりかつての邦画監督達の作品群ではないかな、と思います。


日本のお家芸だったゲームでさえ、
こう意味のないトートロジーをするようでは、
ちょっと厳しくなってきたような気がします。


任天堂さんに戻って言えば、株価が一万を割り込む日も、
そう遠くないと思いました。

逆に言えば、他に割り込むチャンスはたくさんある、
ということです。





この曲が頭蓋にこびりついた。
独特の世界観をもった曲ばかり作られる石川さん。

久しぶりにこういう個性を感じた気がします。

話題作、現在放映中、神様ドォルズの主題歌。

素晴らしい。



あとはやっぱりこのクオリティの高さと疾走感。

近年のJPOPが忘れている、勢い。

名曲揃いのこのアニメ。

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プロフィール
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海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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