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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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クシシュトフ・キシェロフスキ監督

第7話、8話については以前のログで書いております

今回はまとめ。
ついに全10話見終わりました。
すべてテレビ用に作られた、1話あたり60分程度の物語。
しかし、60分程度とはとても思えない質の高さ。

前にも書きましたが、ポーランドで最終回は64%を越える、
ポーランド史上最高視聴率をたたき出した傑作です。

このような作品がテレビで放映されるとは信じがたい。
内容的にも非常に濃厚でディープだし、
形式的にも、それぞれ『ふたりのベロニカ』なみの出来。
『ふたりのベロニカ』は話があまり好きではありませんが。


『デカローグ』
十戒に基づいた全10話。
はっきり言ってかなり面白いです。
ポーランドを代表する俳優たちの豪華キャスト。
各話、人間の深奥を抉る、重厚な物語。

舞台はたまたまポーランドなのですが、
日本でも通用する物語ばかり。
徹底的に暗い、苦しみの物語ばかり。

個人的には、

3話目、あるクリスマスに関する物語(主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。)
6話目、ある愛に関する物語(姦淫してはならない。)
8話目、ある過去に関する物語(隣人に関して偽証してはならない。)
10話目、ある希望に関する物語(隣人の財産を欲してはならない。)

が好きです。

それにしても日本語のタイトルは少し曖昧です。
十戒はカトリック用語なので、たぶん日本で公開する際に、
よりとっつきやすく、こうしたのでしょうが。


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2004年。クリストフ・オノレ監督。
イザベル・ユベール、ルイ・ガレル。


フランスの思想家であり小説家、ジョルジュ・バタイユの『わが母』を映画化。
もしもフランス文学に多少親しみのある方であれば、バタイユという作家が、
いかなる作家であるのかご存知でしょう。

面倒なので、バタイユについては語りません。

この映画のことだけ言うと、ルイ・マルの好奇心よろしく、母子もの。

しかし、つくづく思うのが、『好奇心』のマッサリのほうがよかったということ。
ユベールは確かに綺麗ですよ。
でも、いかんせん痩せぎすで、肉がなさすぎる。
そのせいか官能性に欠ける。
放埒な母というのが、どうもしっくりこない。

彼女はいつもかっこよくて、
なんだか憂鬱そうな顔ばかりで、快楽に臨む姿はまるで、
苦虫を何匹も噛みつぶしたような、渋い顔でした。
そのせいで、どうも背徳的な悦楽みたいなものがない。

ルイ・ガレルも、快楽に墜ちていくのが全く楽しくなさそうで、
二人ともまるで修行僧。

これでは意味がない。

そのうえ、舞台をなぜ、あのようなヌードビーチがあるような、
開放感溢れるところにしたのか。

似たようなテーマを扱う、今村昌平の『日本昆虫記』のごとく、
フランスの土着的な田舎のほうがよかったと思うのは私だけでしょうか。

退屈な映画です。

1998年。セドリック・カーン監督。L'Ennui
シャルル・ベルラン。


原作はイタリアの文豪、モラヴィアの小説。
それをフランスに置き換え、多少設定をいじっているよう。
ただし、原作を読んだことはないので、
どの程度、原作を変えているかはわかりません。

あくまで映画だけの印象を言いますと、
見始めてから2秒で、「ハズレた」と確信、間違っていませんでした。
なんとも思わせぶりで、感傷的なつまらない台詞からはじまるのです。

そのうえ、驚いたのがヒロイン。
全く魅力的でない。
というのもかなり太っている。
冗談抜きで、相当太っています。
フランス人の中でもかなりぶさいくな部類に入ること間違い無し。

しかし、主演のシャルル・ベルランの、神経質て嫉妬深く、
ひどく馬鹿げた、小物の教授役の演技は、物凄くうまい。
彼の演技は凄すぎる。

ラストも無茶苦茶な終わり方で、見ない方がマシな映画かもしれません。



1981年。フレドリック・アンドレイ。ウィルヘルミナ・フェルナンデス。
80年代フランス映画の幕開け。

ジャン=ジャック・ベネックス監督の処女作にして最高傑作。
処女作にして最高傑作というのは、なんかかわいそうな気もしますが、
仕方ない。それは紛れもない事実です。

次作『溝の中の月』も確かに悪くない。
しかし、『DIVA』かなあと思う。
ファンも多い、『ベティ・ブルー』や
『青い夢の女』なんかはカスみたいな映画です。

さて、

『DIVA』はその名のごとく、歌姫がヒロインで、
ウィルヘルミナ・フェルナンデスはそれなりに名の通ったソプラノなんです。
この映画内ではとりわけ、少しマイナーなオペラ作品『ラ・ワリー』が、
とても重要な役割を持って出てきます。

オペラをこれだけうまく映画の中で昇華した例は他にないでしょう。
絶妙なサスペンスと絡み合わせ、最後は一つの物語へと収斂する。

パリの郵便配達であるジュールは、大のオペラファンで、
殊にシンシア・ホーキンス(ウィルヘルミナの役)を、
その類い希な声から敬愛し、それに止まらず、恋愛感情を抱いてもいた。
彼は、自分一人で彼女の曲を楽しむために、パリ公演の際、
公演を録音してしまう。
そのうえ、楽屋でサインを貰った後、ドレスを盗み出す。

しかし、録音をかぎつけた台湾のレコード会社が、
CD化を拒み続けるシンシアに、
録音テープから海賊版を出してしまうと脅し、
自分たちと専属契約を結ぶよう迫る。

それを知ったジュールは自分の録音テープを処分しようとするのですが、
全く別の事件、パリの娼婦達の元締めを暴くテープと彼のテープが混ざり合い、
ジュールは同時にいくつかの組織から追われる羽目に。

一体、この窮地をどう切り抜けるのか——。

ガジェットで溢れる画面は新鮮で、スピード感もあります。
そして、ジュールとシンシアの切ないラブストーリーも絡み合う。

基本をしっかりおさえた映画なので楽しめます。

ぜひ。

1983年。マット・ディロン、ミッキー・ローク、
ダイアン・レイン。
トム・ウェイツ、ニコラス・ケイジなど。

アメリカ、80年代のバイブルとも言われる、S・E・ヒントンの小説が原作。
ヒントン自身が脚本に携わっている。
音楽はポリスのスチュワート・コープランド。

荒っぽい青春映画です。
喧嘩に明け暮れる青年と、その兄の物語。
映画としては、中くらいの出来。
私個人的ににはあんまり好きな映画ではない。

しかし、ミッキー・ロークが冴え渡っている。
『ナインハーフ』等、
もともと好きな俳優さんには違いありませんが、
このイカれた、強く、頭の切れる、
すべてに意味を見いだせなくなった、
虚無主義の兄を最高にうまく演じています。
あの静かで異様に優しい語り口はなんだろう。
いつも微笑を口元に湛えている、
醒めすぎた狂気。

かっこよすぎる。
すごいカリスマ性を感じさせます。

結局、彼は弟を自分のようにしたくないために、
自殺行為に及んだのではないでしょうか。

彼に、あの街は小さすぎた。
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海馬浬弧
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女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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