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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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今回は私としてはかなりめずらしいですが、
Jpopについて、それも第三回CD屋大賞を受賞し、
徐々にその人気を高めているバンド、andymoriの『1984』という曲について。
個人的に、このバンドのボーカルである小山田君を非常に応援しているので。

以下、ものすごく個人的な感想を書きます。

聞いてまずびっくり。
彼がこんなに、ナイーブな声をしていたとは。
高石ともやが好きだというのは聞いたことがあり、
よく覚えていたのですが、確かにその影響は濃い。
70年代後半のフォークロックのような。

でも、もちろん現代。
草食系を地で行った外見、ファッションやPV。
歌詞も、物凄く青臭く、こっぱずかしい。

このゆるい感じ。
とても、人科なんですよ。
人科だった人ならすごくわかると思う。

人科って何?って思われた方、「人科」でググってみて下さい。
一番トップのそれが、それです。


小山田君の、気持ちのこもった歌詞。
というか、彼の生まれた年「1984」を題名にしているのだから、
気持ちがこもらないはずがない。

好き嫌いはぬきにして、この曲は名曲です。

もちろん、「1984」はandymori、小山田君の処女作ではない。
しかし、得てして、ミュージシャンも作家も、
処女作が思い入れの強い自伝的作品であればあるだけ、
処女作を越えるものを作ることが難しくなるのです。

バンプの『天体観測』、くるりの『ばらの花』
これらも処女作ではない。
でも彼等の処女作的な作品の頂点であるといえると思う。
そして、思い返してみると、
やはり彼等もこの曲以上のものが作れていない。
今ではもう余生のような制作活動。
ミスチル「Over」だってそうだし。
椎名林檎「歌舞伎町の女王」すら。

かつてのシャ乱Qですら、ある意味「18ヶ月」を越える作品は作れなかった。
「シングルベッド」(処女作ではないが処女作的作品)以上のものはなかった。

私が言う処女作的作品とは自伝的作品ということです。
それも極私的作品です。

新藤兼人が「誰でも一つはいい物語が書ける」という意味は、
まさにそういう意味においてなのです。
誰だって、様々な人生を歩んでいるから、少なくとも一つは、
自分だけの物語が書ける、ということ。
だから、自伝的なものとか私小説って、なにかぐっときてしまう。
なにかある、と思ってしまう。

話をさらに飛躍させると、

だから『バクマン』の秋人と最高は強い。
計算尽くで考え出した物語(もちろん100%計算ではない)のほうが、
耐久力に優れるし、枯渇しない。

自伝的な思い入れがあまりない作品で、
一気にメジャーになるほうが、後々楽かもしれない、と私は思う。
後から、その自伝的作品を使えばいい。

映画監督の世界はどうでしょう。
黒澤明、小津、溝口。
皆、自伝的作品ではなく、うまく別の形に昇華させていますよね。
別の形式をつかんでいる。
自伝的要素はあるのだけれど、ほとんどその原型が残らないほどにし、
映画として成立させている。


「処女」作は切り札、まさに乾坤一擲。


Andymori.
私がいつもださいと思い、うんざりする、くるり、
とかの要素をたぶんに含んでいるし、
センチメンタルな草食系でもある。
オザケンすら思い起こさせる。

でも小山田君を応援したいと思います。

「処女作にして最高傑作」とならぬよう。

処女作を越えることができるか。



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言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
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