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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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早川書房刊。

私は以前からよく思っていましたが、
文学研究とは、なんなんでしょうね。

個人的なことを少しお話すると、
自分自身、その道へ片足を突っ込み、
学費・生活費を捻出するために就業しながら大学院に身を置き、
博士課程を1年目まで行きましたが、心身共に疲れ果て、
全く両立出来ずに中退。
本を読むことは大好きだし、何かを書くことも好きです。
しかし、はじめから最後まで、
文学研究がなんなのかさっぱりわからなかった。
わからなかったから、こうなったに違いない。

自分の専門と称する作家についても、
作品を読めば読むほど興味を失っていきました。
ひどく単調で、同じことをずっと言っているだけに過ぎない。
したがって、ある一定の法則で、その作家のすべての作品を読み解くこと、
割り切ることができる、というのが私の修論でした。
もちろん、その作家の考え方に対して、
私自身共有しているものは当然あるのですが。

今でははっきりと認めることができますが、
私はそもそも院に入る大分前から、
その作家に対する興味を失っていたのに、
「就職」から逃げようとして、
院という場所へ入っただけなのだと思います。

そんな私に、ある作家の魅力をうまく伝えること
など到底できるわけもなく、中途で頓挫したわけです。


さて、前置きが長くなりましたが、
『悪童日記』のような小説を読むと、
やはり自分の「研究」的素質のなさ、というのを痛感するし、
本来、私が好きな作品というか求めている作品というのは、
まさしく「これだ!」と感じて止まないのです。

この小説は間違い無く別格ですし、
エンターテイメント性とか、そういう言葉を持ち出しても、
すべての面において抜きんでている、確乎たる小説なのです。

こういう小説を前にして、「研究」という行為は、
結局のところその最も忠実なものは
私見によれば、「翻訳」であると思います。

私に言わせれば、
最も優れた「研究」行為はすなわち「翻訳」であると考えています。
「解釈」ではなく。
翻訳とはある作品の読者を広げる行為です。
解釈は一種の内輪だけの祭りです。


素晴らしい研究と慧眼でもって、この作品を翻訳し、
早川へ唐突に送りつけた堀茂樹先生は素敵だと思う。

この作品の内容や形式、
その出版事情については様々なところで詳しいので、
いまさら私がここで紹介することはやめておきます。

本を読まない人でもすぐに読めるに違いない小説ですので、
ぜひこの本をまだ読まれたことがない人は読んでみて欲しい。

徹頭徹尾、あらゆる面で一貫した、第一級の特異な小説です。

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こんにちわ!
相変わらず、適切な言葉選びとうまい文章の言い回しをするなぁ、と毎度関心しております。

エンターテイメント性は大切ですよね。

関係ないんですが、私はほとんど本を読まないというか、字が苦手で読めないんですけど、ある作家の小説だけは読めるんです。

有名な人だけど、何故自分がその人の文章だけスラスラ読めるのか、その人の持つものというか良さみたいなものを、専門家の意見聞きたいなぁと思ってたので、機会があればヨロシクお願いします(*- -)(*_ _)


あみぴろ 2011/10/02(Sun) 01:42 編集
Re:あみぴろさま江

コメントありがとうございます!!
というか、雑文お恥ずかしい限りですm(_ _)m

エンターテイメント性は、なんだかんだ言っても、
絶対必要な要素ですよね!
つまり、単なる自己満足に終わるものでなくて、
他人にもなんらかの共振を与えるもの、を目指しています。

ところで、あみさんが唯一読むことのできる作家って、
どなたなんでしょう!?物凄く、気になります。
お会いしたときやブログで、本はあまり読まないと伺っていたので、
すらすら読むことのできる作家さんがいる、というのは
とても気になりますね。興味津々です。
いつでもいいので今度、ぜひ教えて下さいね!!

10月にはまたどこかでお茶でもできればと思っております。
今週は冷えるみたいですので、くれぐれもご自愛下さいませ。

Ricöt
海馬浬弧 2011/10/02(Sun) 17:43
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言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
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私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
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