あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
1961年。
アンジェイ・ワイダと並ぶ、ポーランドのもう一人の巨匠、
イエイジ・カワレロヴィッチ監督の傑作。
恐るべき映画です。
舞台は、鄙びた田舎にある中世ポーランドの修道院。
尼僧達は、「悪魔」に取り憑かれ、情欲にふけるままとなってしまっている。
彼女たちの悪魔払いに派遣された神父スーリンは、
尼僧の代表格であるヨアンナと対峙するが、
彼女は8つの悪魔に取り憑かれているという——
・・・このような、陰鬱極まりない、暗い映画があるでしょうか。
初めて見たときは強く衝撃を受け、
今でも見る度に、そのおもしろさにゾクゾクします。
映像もさることながら、イヴァシュキェヴィッチの小説を原作としたこの物語は、
仮借無く、人間の内奥を探求しています。
「悪魔」というのは、そもそもなんなのか。
この時代の修道院の「悪魔」とは、要は、カトリック的観点から見ると、
許されないような欲動ではないのか。
「悪魔」というのは、ある意味口実に過ぎません。
しかし、敬虔な神父は、悪魔払いのために、
とてつもなく悲惨な行動に出るのです。
このポーランドの田舎の描写が、異様に暗い。
しかし、これが本当の貧しさです。
ポーランド映画の主題の深さ、美的センスのすばらしさ、
とにかくすべての面での質の高さを感じさせます。
クラコフから出た、ポーランド派たちの独特な人間探求は、
他の世界の映画に類をみない、暗さを持っています。
そして、ワイダもそうですが、ドライタッチを得意とした、
感情移入されていない、冷酷さが際立ちます。
これはとりもなおさず、ポーランドの歴史に依拠しているのだと思います。
絶対見るべき映画です。
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海馬浬弧
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女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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