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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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フレデリック・バック『イリュージョン?』より

東京都現代美術館にて現在開催中の
フレデリック・バック展に行って参りました。

アニメーション制作をコツコツとやっている身としては、
ぜひとも見ておかないといけないと思い、
また過去に『木を植えた男』を見、感銘を受けたので。

アカデミー賞にはあまり知られていませんが、
長編アニメーション賞、短編アニメーション賞もあり、
『木を植えた男』(1987)は
アカデミーの短編アニメーション賞を受賞。
その前作『クラック!』もノミネートされております。

『木を植えた男』を有名にしたのはフレデリック・バックに違いありませんが、
しかしこの作品はそもそも、
フランスの小説家ジャン・ジオノの作品です。
ジオノの文学があるからこそ、生み出された作品です。


さて、私がこの展覧会でまず感じたのは、
バックの創造力の出自についてです。

私は勉強不足だったのでバックや展覧会について前情報がなく、
展覧会もアニメーションのセルを見られるかな〜と思って行ったのですが、
まず驚いたのが予想外に普通の絵がたくさんあったこと。
バックは画家→そして今で言うイラストレーター、
挿絵などの仕事もこなしつつ、
その後カナダにいってアニメーションを作成したのでした。
その流れを全く知らなかった。

だから展示の1階は彼の初期の絵画作品が非常に多い。
もちろん、この頃から後のアニメーション作品の萌芽は見られます。
明らかに彼の絵は、画家としての絵に向いていない、
と個人的には思いました。もちろんいい意味で。
大胆で、線が太く、動きを求めている。
とりわけ、本の挿絵、イラストの企画などの展示は興味深く、
私も非常に刺激を受けました。

それに対し3階の展示はアニメーション作品。
私は『クラック!』以降しか知らなかったけれど、
それ以前の作品の展示も充実しているし、面白い。

思ったのは、どの作品も一つの手法だけではない、ということ。
切り絵やセルを混ぜ込んでいる。
そしてセルも普通のセルではなく、アセテートセルという特殊な、
フィルムを用いています。

私が最も見たかった、バックのセルに特殊な色鉛筆で手描き、
という手法は、頭ではわかっていたのだけれど、
本当に膨大な労力を要するものだと痛感しました。
わずか30分の作品に2万枚の、
しかもあの質のセルを作るというのは、
ちょっと信じがたい。
凄いとしか言いようがない。

そして、様々なオーバーラップを駆使した、
彼の絵に適確にマッチしたカメラワーク。

私は美術館的なところは、かなりスッスッ行くタイプなのですが、
いつのまにか2時間くらい経っておりました。

アニメーションというのは、
まるで日本のお家芸のように思われがちですが、
やはり世界にはその国独自の、作家それぞれの、
印象的で優れた作品があります。

東京都現代美術館は9月の土曜は夜8時までやっている日もあり、
仕事をしている方にとっては、とても嬉しい配慮。

バックは凄かった。

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海馬浬弧
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自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
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私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
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