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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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プロレタリア文学・戦争文学の秀作。
忘れられた作家の黒島伝治。

私の最近のテーマは、女性・戦争・性・労働・誘拐・死体・主張なので。

陰鬱な話です。
要するに、シベリア戦線で戦っている日本兵が、
八甲田山よろしく遭難し、雪に埋もれ、春になり死体がみつかり、
渦巻ける烏の群は、死体を啄んでいるというお話。

救いはありません。
淡々と描かれています。

ロシア人の女性の取り合いから、ある一個中隊が、上官の怒りを買い、
もっとも厳しい地域に送り込まれ、遭難してしまう。

「彼等が、いくらあせっても、行くさきにあるものは雪ばかりだった。
・・・雪が降った。
白い曠野に、散り散りに横たわっている黄色の肉体は、埋められていった。
雪は降った上に降り積もった。倒れた兵士は、雪に蔽われ、暫くするうちに、
背嚢も、靴も、軍帽も、すべて雪の下にかくれて、彼等が横たわっている痕跡は、
すっかり分からなくなってしまった。
 雪は、なお、降り続いた。……」
『渦巻ける烏の群』より引用。

映画『八甲田山』の雪の描写を思い出しました。
あの凄まじい雪との戦い。

あの真っ白な世界こそ、死の世界。

いつか私も、八甲田山の雪を見てみたいと思っています。
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海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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