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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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ヨスガノソラ(以下、長文となりますのでご注意)

2010年秋冬クールのアニメ。
全12話、先日最終回を迎えました。

はっきり言って問題作です。
石原都知事が「性描写漫画」の規制を訴える中、かなりギリギリまでついたもの。
というか、ここ数年稀に見る、限界アニメです。
ケーブルテレビの、ATーXでは、通常版と違い、
映るところはすべて映っています。
BS11などで放映された、通常版も映っていないだけで、臨界点まで達しています。
そういう意味で野心作と言えるでしょう。

アニ速でも、
電撃文庫からきた「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」、
累計1000万部を売り上げている「とある魔術の禁書目録」に次いで、
第3位につけています。
もとは、Sphereより発売された18禁PCゲーム。
それをアニメとして展開。
Dailymotion等で各話ご覧頂けますので、よろしければ見てみて下さい。
現代という時代が、いかなるものを求めているか、よくわかります。

いわゆるゲーム原作ものにはない、力の入れよう、完成度の高さ。
前評判は高くなかったにも関わらず、3位に食い込む大健闘。
特筆すべき作品となっています。

_______________

このアニメの魅力は第一に、テーマです。
双子の兄(悠)と妹(穹)の恋愛、というか性愛。
あるいは悠と様々な女の子達との性愛。
性描写という面では、あきらかにテレビ放映される他作品と、
一線を画していますし、一線を越えています。

構成はゲーム原作アニメにつきものの、ループ形式。
すなわち、主人公である悠(はるか)が、まずAという女の子と恋愛し、
その話が4話ある。
4話目でAという女の子との話はおしまいで、
5話目より時間が戻り、Bという女の子と恋愛した場合どうなったか、という展開。
ただし、1,2話は全共通など、少々複雑に「活用」しています。

主人公、悠に対して妹の穹(そら)はヒロインにあたるわけですが、
もちろん悠と穹のエピソードは一番最後のエピソードとして、
真打ちのごとく最後を飾ります。


第二に、絵と、舞台設定、すなわち世界観の完成度の高さです。
第1話ののっけから、このアニメは、どこかしら郷愁を誘われるものがあります。
絵のとっつきやすさもさながら、どこかセンチメンタルな出だしは、
人間の弱さに訴えかけるものがある。
ひどくノスタルジックで魅力的な出だしなのです。
小説でも、書き出しが最も重要と考えられますが、
その意味でこの話は、描き出しに大成功を収めていると言えるでしょう。

舞台を田舎にしていることも、どこか世界の果てのように静かで、心地いい。
現実の足利市樺崎町をモチーフにしていることもあり、絵は現実的です。

この話はつまり、あくまで現実を舞台にしつつ、
双子の性愛という非現実的な要素を現実に導入しているのです。

第三に、穹以外のヒロインにも魅力がある。
それぞれのエピソードに明確なこだわりがあります。
特に、受け入れがたいのは、隣の家に住む奈緒とのエピソードで、
中1であった奈緒が、当時小6であった少年、悠を襲うという、
ひどく不道徳なエピソード。
こんなことあり得ない。
しかもそれを、穹がのぞき見している。
とんでもない話です。

他のヒロインの時は、奈緒や穹ルートとは異なり、
しっとりとしているのですが。
この二人の話となると急速にドロドロとする。
兄妹が血塗られるのは当たり前ですが。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

さて。
ヨスガとは「縁」と書いてそう読みます。
すなわち、よりどころ、という意味です。
本編を見ると、穹にとって、悠がよりどころであるように見受けられますが、
たぶん本当のとこは、悠にとって、穹がヨスガであるのでしょう。

恋愛感情を抱き始めたのは、内容からしても、
おそらく彼が先であり、
彼の方から子供の時、穹にキスをしてしまったのも、
それを表しているのではないでしょうか。

流行の「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」といい、
あるいは「Toloveる」といい、松潤で映画化された少女漫画
「僕は妹に恋をする」といい、明らかに兄妹の恋愛ものが、
ここにきて急激に盛り上がりを見せている。

もちろん「Toloveる」はそれが本題ではないにせよ、
兄妹に関する、近親相姦ものが、これだけ大々的に、
一般読者を獲得しつつある背景には一体なにがあるのか。

それははっきり言って、男性女性の性的弱体化があると思います。
(特に男性の)

古くは、野坂昭如の傑作小説『骨我身峠死人葛』などで描かれた、
兄妹の性愛は、いまでは、それほど禁忌なものとしてではなく、
テレビで放映されるまでに、映画化されるまでになっているのです。

なぜ、私が性的弱体化と言うかと言いますと、
それはまず禁忌をネタにしないと、
性愛に魅力がないような時代に突入しつつあるからなのです。

いまでは、PCを使えば、ガキでもいくらでもポルノを拾うことが可能で、
性に関するものなんて、いくらでも溢れかえっています。
その結果、「抑えられた」欲望なんて表現はすでに古く、
自慰的な社会ゆえに、欲望は抑える必要なんてなくなり、
岸田秀さんじゃありませんが、人間は前よりいっそう、
年がら年中、発情状態。
より刺激の強いものをもとめ、ついには近親相姦に至ったきらいが多分にあり。

私は予言しますが、次は、兄妹じゃすみません。
さらなる近親相姦ものが、普通に、出てくることでしょう。
それはとりもなおさず、そうでないと発情できなくなってしまった人間が、
多数生じてきたからであり、
当然、それを求める人がたくさんいるからなのです。

さらに、性的弱体化という理由、
それはまさしく、近親者であるということです。
近親者は厳密な意味では他者ではありません。
つまり、望む望まざるに関わらず、はじめから関係性がある人なのです。
それに対し他者は、全く関係のない人ですから、
ゼロから関係を築かないといけない人です。

こういう表現は良くないですが、
要は兄にせよ妹にせよ「手近な所」なわけです。
その上、近親者というのは、共有しているものも多く、
たとえば習慣であったり、同じ思い出であったり、育った環境であったり、
他者ほど近づくのに苦労が、骨折りがないのです。

そういうわけですから、どこかしら似通っている部分も当然あるわけで、
その結果、近親相姦とは必然的に、ナルシシックな衝動とも言えます。
自己愛の変奏なのです。

他者との関わりを恐れ、厭う。
それでも愛されたいと願う。
愛したいではなくて。

それゆえの、兄妹もの興隆です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本という国は、本当に、劣等感を持つ人の多い、
弱い人の多い国だとつくづく思います。
しかし、だからこそ、心地いい幻想で彩られたアニメやゲームを生み出し、
いまやそれが世界を席巻しつつある。

日本に軍事力はありませんが、
ゲームやアニメは人間を骨抜きにする最たるものです。

私もよく通勤電車で大人が、ピコピコとDSなり、PSPなりを
一生懸命しているのをよく見ます。

世界を骨抜きにする戦略。
これが日本の世界戦略でなくてなんでしょうか。


ヨスガノソラ、ゼロ年代の驚くべきアニメ。
ぜひ。



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海馬浬弧
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自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
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私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
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