あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
特に、能町みね子さんのコーナー「折り合い!ランキング」
能町さんが行かれた、東北〜北関東思い出の海岸について。
いずれも今回の震災で大津波の被害に遭った場所です。
私はまだいずれの町へも行ったことがありません。
したがって大津波の前を知りません。
唯一「陸前富山」のみ、
その三駅手前の「松島海岸」なら行ったことがある程度。
実は、先日の三連休に、山形経由で仙山線、仙石線、
気仙沼線などを乗り継ごうと思っていたのですが、
震災の発生により行けませんでした。
能町さんが挙げられている所は、まさにそれらの路線の町です。
いずれも風光明媚で名が高い。
必ず私も巡ろうと思います。
心の底より、これらの町の一日も早い復興をお祈りしつつ、
拝読させて頂きました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう一つ、「宮崎哲弥のDVD教養主義」について少々。
この度、ワイダのDVDーBOX1がついに発売されたんですね。
抵抗三部作と呼ばれている、
『世代』『地下水道』『灰とダイヤモンド』を収録。
『灰とダイヤ』なんて、これまでにあってもおかしくないんだけど、
初のDVD化とか。信じがたい。
なんか、宮崎氏はやけにかたっ苦しいオチをつけています。
「政治の脱神話化を貫くために、映像の神話化が要請された」云々。
政治の脱神話化までは理解できますが、映像の神話化ってなんだ。
読んでみると、たぶん、簡単に図式化されない権力組織・闘争を、
映画によって描くのにワイダは成功した、
とかそういうことを言いたいのだろうけど、
映像の神話化って意味不明です。
そんなの「シニカル」どころか、ナンセンスです。
ワイダの抵抗三部作は、
確かに英雄的な革命、抵抗の成功を描くものでは決してない。
それどころか、複雑に絡み合う利害関係と、
味方の裏切りの連続、絶望につぐ絶望。敗走につぐ敗走。
まるで救いはない。
そのうえ、どこにも正義はない。
みんながみんな加害者で被害者で、
なおかつ、明確にそのジレンマを皆が自覚し、
懊悩している。
だから、映像は決して神話化されていない。
ヒーローは生まれない。
主人公すら神話化されない。
間違えてはいけない。
というか、バカなことを言ってはいけない。
神話化というと、なんだか無条件に美しいようですが、
ワイダの映画はあまりに人間的な映画なのです。
ワイダが描くのは、絶対に神々ではない。
例えば『地下水道』など、みんな汚物にまみれて、
それでもなお生きようともがき、のたうち回る。
確かにどの映画もシーシュポス的な抵抗ではありますが、
これぞ人間という、絶望の中での生き様をとことん追求した、
人間の話です。
徹底したリアリストです、ワイダは。
変にかっこつけた文章を弄するのは止めて欲しい、
と私は宮崎氏には言いたい。
ワイダの他作をちゃんと見たことあるのか、と思います。
かなり雑多な作品があるんです。
例えば『蠅取り紙』
このいかにも象徴的なタイトルの現代劇や、
ワイダ映画でも私は絶賛してやまない『夜の終わりに』
あるいは『約束の土地』
どの映画でもそんな馬鹿げた要請はされていない。
映像を神話化するということは、
一つの権力構造を映像の形式にも持ち込む、
ということだと考えられますが、
ワイダはそんなバカなことしていません。
それでは本末顚倒も甚だしい。
あくまで人間的な、非常に複雑な映画を作っているのです、ワイダは。
もうちょっとポーランドの歴史を考えてものを言って欲しい、と
僭越ながら、このレビューログはあくまで、
そういうスタンスなので申し上げておきます。
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海馬浬弧
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女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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