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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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君は『黒死館殺人事件』を読んだか?
私は苦労して読んだ。
最近、ようやく読み終えた。

1934年に江戸川乱歩が創刊した雑誌『新青年』で連載された、
日本探偵小説史上の三大奇書の一つ。
あとは『虚無への供物』と『ドグラ・マグラ』ね。
どれも長い。

小栗はその晦渋を極めた文体から、
当時は幸田露伴などのいわゆる純文学作家からも一目置かれていた作家である。
今では忘れられた作家の一人。

西の横綱が夢野久作なら、東の横綱は間違い無く小栗虫太郎だろう。
彼は、探偵小説のみならず、『白蟻』という、これまた難解な文体の、
傑作中編がある。
正直、夢野のほうがよっぽど読みやすい話が多い。
あとはこの頃で言えば久生十蘭にも傑作がある。
江戸川乱歩の周りの雑誌には結構面白くて、
忘れられた作家がいる。
猟奇的な作品を書いた作家も多い。
お勧めは大坪砂男『天狗』『零人』

小栗虫太郎はとにかく、難しい。
そして、極度の衒学趣味。
しかしその衒学の典拠たるや、なかには疑わしいものも多数あり。
にもかかわらず、その「似非」知識を、本当の知識のように振る舞わせる、
豪華絢爛な虚無。空中楼閣。

おそらく、1ページあたりに30ばかりの註が必要なのではないかと思われるような、
固有名詞やエピソードの列挙。
とてもとてもついていけない。

その結果、話の全容はまったく見えてこず、
一体なにがどうなったのか、全然わからない。
へんてこな病理学やら占星術やら神秘哲学やら宗教学、心理学、暗号学を駆使し、
わけのわからない殺人事件を解き明かす。

すべて、稀代の麒麟児、法水麟太郎が解き明かす。

それにしても、読んでいてさっぱりわからない。
字面を追うのがやっとである。
難しすぎるし、博覧強記の彼がたびたび引用する文献は、
全くなじみがないばかりでなく、存在しているのかすら怪しい。

法水恐るべし。
彼をもってすれば、シャーロックホームズだろうが、
ポワロだろうが、ルパンだろうが、明智だろうが、みんなふっとぶ。
とにかく、途中から犯罪が一体なんなのか、それすらわからなくなる、
ディレッタンティスムの脱線ぶり。
理解できない。

私はチェスタトンが特に好きで、
ブラウン神父シリーズは愛読した。
あの、諧謔と皮肉に溢れた、敵の精神へ迫っていくブラウン神父の謎解きは、
いかにもおしゃれでした。
チェスタトンにせよ、ドイルにせよ、皆戦前の人である。
探偵小説は実は、戦前に黄金時代を迎え、今はもう見る影なし。
東野とか残りカスにもならない。

『黒死館殺人事件』、眠くなること間違いなし。
もし法水が気に入れば、『聖アレキセイ寺院の惨劇』もぜひ。
よくもまあ、こんな小説を書こうと思い、
なおかつ書けたもんだと、開いた口がふさがらない。
天才の仕事です。
小栗のファンは結構昔は多かったけれど今は聞かないね。
松山俊太郎、澁澤龍彦、三島あたりは小栗を尊敬して止まなかったらしい。

私にはコロンボくらいがちょうどいいです。

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無題
新青年は江戸川乱歩が創刊してのではありませんよ。乱歩は新青年でデビューしたんです^^
Soryukutsu 2011/07/27(Wed) 12:59 編集
Re:無題
>Soryukutsuさま

貴重なご指摘ありがとうございました!!
私の完全なる勉強不足です。。。
誤った情報を載せてしまいお恥ずかしい限りです><

海馬浬弧 2011/07/27(Wed) 21:03
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言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
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