あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
La petite voleuse (1988)
クロード・ミレール監督。
本作の原案はトリュフォー。
トリュフォー亡き後に弟子のクロード・ミレール監督が映画化。
確かに、トリュフォーの『大人は判ってくれない』の女の子バージョンです。
そして『大人は判ってくれない』より、なお現実的です。
というか、冷淡。
淡々と描いております。
ヒロインはシャルロット・ゲンズブール。
『なまいきシャルロット』
『シャルロット・フォーエバー』
に続き、シャルロットの蒼い肉体が、そんな多くないけど出てきます。
前より成長しているけれど、胸とか、ほんと蒼い。
たまらない人にはたまらないでしょう。
しかし、私はどうも、あのしゃくれた顎が気になって仕方ない。
シャルロットってなんであんなにしゃくれてるのか?
バーキンもちょっとしゃくれてるからかな・・・。
『Anti-Christ』は日本にくるのだろうか?
さてさて、好みはあるでしょうが、
若かりし日のシャルロット作品は、
どれも全く種類の違う作品ですが、私はこの作品をおすすめしたいと思います。
『シャルロット・フォーエバー』も『なまいきシャルロット』
も特殊な映画で、それはそれで見所のある映画なんですが、くせがあるんですね。
『シャルロット・フォーエバー』とか父のゲンズブールの映画だから、
ちょっといっちゃってるし。
『小さな泥棒』はある意味、もっとも見やすい映画です。
淡々と、シャルロット演じるジャニーヌの転落人生を描いている。
時代設定は戦後のフランスの片田舎。
田舎のうだつの上がらない生活は日本も同じ。
田舎ってヤンキーばっかでさ。
やることないから、やることといったら・・・みたいな。
みんなバカで、偏屈で。理解とかなくて。可能性もなくて。
嫌気がさして、フラストレーションたまって盗み癖。
それでもみんな貧乏で。
あげくのはてに刑務所入って脱走して。
妊娠して子をおろそうとして。
救いがない。
私はよく思うけれど、
人生って本当に不公平です。よくもわるくも。
生まれた環境、家庭でほとんどその人の人生が決まる。
自分が生まれ育った環境を、その環境が金持ちにせよ、貧乏にせよ、
いい意味で抜け出せる人、ごくわずか。
貧困。金持ち。
この映画を見て面白いのは、フランスの少女苑。
シスターたちが少女苑をとりしきってるんだけど、
シスターたちにあんな小さなあばずれ達をよく制御できるな〜ということ。
そしてシスターが怖い。
怒鳴るし、優しくない。
シスターって結構つよいんですね。
そんなフランス少女苑、シャルロットの蒼い肉体を見たければぜひ。
脇役も、33歳で自殺したシモン・ド・ラ・ブロスなどがおり、
安心して見れます。
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夕陽のガンマン、セルジオ・レオーネ監督、1965年。
原題、For a Few Dollars More
最高です。
この映画を見たのは二度目。
マカロニ・ウエスタンの傑作。
クリント・イーストウッドには二人恩師がいます。
ドン・シーゲル監督とセルジオ・レオーネ監督。
そのうちの一人、セルジオ・レオーネの傑作。
「マカロニ」だけあって、音楽は巨匠、モリコーネ。
これがまたいい。最高の音楽を映像にくっつけているわけです。
そしてキャスト。
クリント・イーストウッド、
リー・ヴァン・クリーフ(ヴァン・クリーフ&アーペルみたいでしょ)
ジャン・マリア・ヴォロンテ。
三人が三者三様の男の生き様を見せてくれる。
それにしても私はこういう映画が好きですね。
かっこいいんだ。単純に面白い。
最近の映画は、こういう娯楽性と様式美と内容の三拍子そろった映画がない。
特に、最近の映画の弱い点は様式美。形式美です。これにつきる。
内容で「世界が泣いた」的なしょうもないキャッチコピーをつけるくせに、
残念ながら内容もない。
本作『夕陽のガンマン』は、賞金稼ぎのクリント・イーストウッドと、
わけあって賞金稼ぎに身をやつしたヴァン・クリーフが、共同戦線をはり、
ヴォロンテ一味と戦う。
クリント・イーストウッド演じるモンコは早撃ちの名手。
ヴァン・クリーフは類い希な狙撃手。
ヴォロンテも銃の腕前は絶品。
彼らの早撃ち対決は凄い緊張感。
ヴァン・クリーフがいい味だしてるんだよね。
彼がまためちゃくちゃ強い。
オルゴールが鳴り終わったところで、銃を撃ち合う。
日本のヤクザ映画は、アメリカでは西部劇になり、
それがヨーロッパになるとフィルム・ノワールになるんです。
健さんはクリント・イーストウッドと同い年で80歳。
フィルム・ノワールといえば、ジャン・ギャバンに始まり、
アラン・ドロンで頂点を迎える。
そのドロンが、健さんやイーストウッドとほぼ同世代。
こうやって考えると不思議ですよね。
フィルム・ノワールは非常にオシャレでニヒルな感じ。
『地下室のメロディ』のラストシーンなんて最高だった。
西部劇だともっと土臭くて、ならずもの臭が強い。デスペーラドってやつだね。
それに対し、ヤクザはもっと格式張った儀式的な世界。
それは客人として、他の一家に入るときの仁義の切り方に象徴されています。
どれが好きですか?
私はどれも好きです。
フィルム・ノワールから、アラン・ドロン。
西部劇からブロンソン。
日本から三船敏郎。
この三者を擁した映画が、『レッド・サン』
三船はヤクザではなく、武士の役。
だけども、三船が演じていた武士は、まさしく健さんヤクザの前身です。
義理と人情を重んじる任侠道に忠実なのは、武士もヤクザも同じ。
黒澤の名作『用心棒』の決闘シーンで、三船は仲代の鉄砲と戦う。
これを西部劇で焼き直したものが『荒野の用心棒』だし、
『七人の侍』は『荒野の七人』に焼き直された。
このように、侍(ヤクザ)映画と西部劇は明らかな近似性を持つのです。
そこで、ヤクザ映画の鉄則。
相手に銃を持っている人物は、必ず一人である。
だって、ドスに対して、相手に銃がいっぱいいれば絶対勝てない。
三船がいかにして、銃の仲代に勝つか?これも必見ですが、
夕陽のガンマンのイーストウッドたちのかっこよさは、
本当にいい。
音楽も絶品。
こういう娯楽映画を作れないとダメです。
昭和残侠伝シリーズ、第7作。1970年。
ああ。
本当にいい映画です。
なんで、こんなに私は、昭和残侠伝シリーズが大好きなんだろう?
昨日、風邪で死んでいたのに、これを見出すと、
すごいドキドキして元気百倍でした。
昭和残侠伝は、日本映画史に残る傑作ヤクザ映画シリーズです。
ヤクザ映画は、鶴田浩二に始まり、
高倉健で頂点をむかえ、
藤純子で終わる。
鶴田浩二も藤純子も最高です、もちろん。
それに藤純子、めちゃくちゃ綺麗です。
こんなに綺麗な人いません。
私は、藤純子さんの声も好きです。
昭和残侠伝には、鶴田浩二が出ているのもあるし、
藤純子が出ているのも結構あります。
さて、『昭和残侠伝、死んで貰います』はシリーズ第7作。
以下に私が大好きな理由をお知らせします。
第一に、池部良さん。
残侠伝シリーズは最盛期がちょうど、学生闘争時代で、
世の中が混沌としていた時なんですね。
観客は、全共闘の奴らやちんぴら。
彼らは異様な熱気で、健さんや池部良に自己投影して見ていたわけです。
当時の流行語で名台詞。
池部良がクライマックスで健さんに言う、「ご一緒願います」
はもうほんとうに、がつーんときます。
熱い。
いやいや。
残侠伝については語っても語り尽くせないんだけど・・・
とにかく池部良さんがいい。
池部さんはそもそも戦中から大スターでしたが、
東宝だった池部さんを、ヤクザ映画の多い東映の名プロデューサー、
俊藤氏が口説き落とす。
「高倉を男にしてやってくれ」と言われ。
第二に、明確な型がこの映画にはある。
たとえば、ラストに討ち入りに行くシーン。
健さん演じる秀次郎と池部良の重吉が肩を並べて歩き、
健さんが歌う「唐獅子牡丹」がかかる時、
たいてい、雪が降っている。
日本人にとって、雪とはもっとも重要な日。
決意の日なのです。
たとえば、藤純子の傑作シリーズ、緋牡丹博徒シリーズの、
最高傑作、『緋牡丹博徒、お竜参上』では、
誉れ高い「雪の合羽橋」のシーンがあるし、
もっとわかりやすく言えば、赤穂浪士です。
四十七士が吉良邸に討ち入りに行くシーンは必ず雪。
雪とは「決意」、あるいは「覚悟」です。
また、多少の違いはあるけれども、
池部さんは必ずはじめ敵で登場し、
最後は義理と人情で、健さんと同じ道を歩むことになり、
最後の殴り込みで必ず死ぬ。
これはすべて、見る前から決まっていることだし、
わかりきっていることなのに、
それでもなお、見ていてもの凄く面白い。
つまり、ストーリーは先がわからないということや、内容も確かに重要ですが、
第一に、形式が重要なのです。
ひとたび、強力な形式を見いだせば、あとはその流れに身をまかせるだけで、
とてつもないダイナミスムが生じる。
安心して見られる。
・・・・・・・・と、長々と書いても仕方ないので、
女性の私が大好きなので、きっと女性の方もご覧頂けると思います。
草食男子は、一匹たりとも出てきません。
最高傑作と言われているのは、
『昭和残侠伝、破れ傘』最終作です。
鶴田浩二も出ています。
仁義なき戦いは、一番はじめだけ。
極妻とか、ほんとしょぼいし、たけしのヤクザ映画も全然駄目。
ヤクザ映画は、健さんか鶴田浩二か藤純子。
すかっとします。
ストレス解消に、ぜひ。
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私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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