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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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1972年。
監督:イングマール・ベルイマン
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
イングリット・チューリン、ハリエット・アンデルセン、リヴ・ウルマン。

キャメラマンとして大好きな、スヴェン・ニクヴィストの撮影。
女優はスウェーデン映画界の大女優ばかり。
監督はスウェーデンの天才、ベルイマン。

この映画を見たのは、何度目でしょう。
私はもう、4回くらい見た気がします。
ベルイマンの映画には、いまだかつてはずれにあたったことがない。
彼は、かなり苛烈なサディストです。
そういう意味でも非常に映画監督に適していると思います。

スウェーデンには、ベルイマンの師匠であり、
俳優としても優れている、ヴィクトル・シェーストレーム監督がいます。
つまり、スウェーデン映画は歴史的土台がしっかりとあるのです。

閑話休題。
『叫びとささやき』ですが、サディスティックな映画です。
三姉妹の凍てついた人間関係とその使用人の話なのですが、
のっけから、子宮癌に苦しむ、次女アングネスの苦痛の叫びが始まる。

この次女アングネスの苦しみが半端じゃない。
これでもかというくらい、苦しみもだえる。
アグネスは死ぬまで、徹底的に肉体を痛めつけられる。
はっきり言ってこんな苦しみ方、見たことない。
日本人の一体どの女優が、こんな役をやれるのでしょうか。

文字通り、苦しみ、半狂乱にのたうちまわるアングネス。
それを見ていられない、長女カーリン、三女マリーア。
彼女たちも、血塗られた幻想の虜になっている。
それは言ってみれば、ささやき、でしょうか。

暗く、そして悲観的な映画です。
生きている長女も次女も、まさに屍的人生を送っている。
その憎しみと倦怠に耐えきれなくなりつつある。

一番怖いのは、死んだはずのアングネスが、
死体なのに動き出す、使用人アンナの、マリア・デラ・ピエタ的幻想です。
あれは気持ち悪い。

生きるということがこれほど苦痛に充ち満ちているとは。

さすがにやりすぎたと思ったのか、ベルイマンは、
一応、それでも最後には、穏やかなシーンをいれています。

とても素晴らしい映画です。
苦痛に苦しむアングネスは、それでも綺麗です。


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海馬浬弧
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自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
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