あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
オースターを初めて読みました。
安部公房とかベケットに似ていると言いますが、
少なくとも安部公房よりは大分おしゃれ。
だって舞台がニューヨークだし。
安部公房はもっとださいのよ。
そこがいいの。
もっと庶民臭く、もっともっと無名な人について書いているのです。
ロマン主義が終わった後の現代文学は、
もっと庶民的なことを題材とした小さな物語が多い。
現代のあたりまえのような日常生活の繰り返しとその不安。
空虚、無意味。
顔とか名前とか。
そういうことが問題にされる。
『幽霊たち』では、主人公の名前はもとより、
登場人物の名前はすべて「色」です。
主人公はブルーで、あとはブラックとかホワイトとかブラウンとか。
非常に曖昧な名前が用いられている。
個性の全くない名前。どこにでもいるような人物。
そんな、どこにでもいる、私でもあり、あなたでもある人物が、
ひょんなことから巻き込まれる不可思議な事態。
「私」は否応なく「私自身」について考えさせられる。
日々の忙しい生活から脱文脈化され、自分自身と向きあわさせられる。
主人公のブルーは私立探偵です。
しかしこれは何も起こらない探偵小説です。
ブラックを見張り続ける仕事につくも、
彼が探偵するのは、自分自身なのです。
様々なアメリカ文学の固有名詞が出てくるので、
そういう意味では、小さなアメリカ文学指南書にもなるでしょう。
短いので気分転換にでもどうぞ。
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海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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