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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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英語版しか見あたらなかったので。



ポーランドの巨匠と言えば、
アンジェイ・ワイダと双璧をなすイェジー・カワレロヴィッチ監督がいる。
いずれもポーランドの苦闘の歴史を深く反映する作風だが、
ワイダのほうがより知名度が高いと思われる。

ワイダには抵抗三部作と言われる、
『世代』『地下水道』『灰とダイヤモンド』
と呼ばれる著名な作品があり、すでにこのレビューでも取り上げた。
どれをとっても絶望的な作品であり、微塵の救いもない。

それに対し、カワレロヴィッチは代表的作品として、
日本語で見られるものには
『尼僧ヨアンナ』『影』そして本作『夜行列車』がある。
ワイダとその筆致というか、映致は似ているけれど、
全く違うテーマを通過しつつ、
やはり凄絶な暗さを宿している作品です。


また少しポーランド映画について語りましょう。

私は、ポーランド映画は殊に好きで、
その重要性をことあるごとに、知人に語ってきました。
他国に類を見ない、その晦冥さ。
その暗さは一体どこからやってくるのか?
少しでも歴史を勉強すれば、すぐにわかります。
度重なる裏切りを背負ってきた国。
失望に次ぐ失望。

ワイダとかカワレロヴィッチ、アンジェイ・ムンク、
ザヌッシの次の世代に、
ポランスキーとかキシェロフスキを輩出したポーランド映画界。
スコリモフスキーもいる。

ポランスキーはかつては『水の中のナイフ』とかで、
ポーランド色の濃い映画を撮っていたし、
ワイダの傑作『夜の終わりに』では俳優としても出ている。


さて、『夜行列車』について。
実に印象的な音楽で始まる映画。
アーチー・ショウの「Moonray」をポーランドのジャズシンガー
Wanda Warskaがスキャットでカヴァー。
まず出だしの音楽からして、この映画が普通とは異なっているのが
すぐに分かる。
いい映画はつかみで大抵分かる。

内容は単に夜行列車に乗り合わせた男女の話。
ただ一夜だけの話。
にもかかわらず、この含蓄の深さ。
洗練されたスタイル。
ポーランド人の辿った暗い道程が、
あらゆるところに見え隠れする。
心理的な描写に抜きんでた映画です。

カワレロヴィッチは、ワイダと違い、
心理描写が非常に優れており、
またスタイリッシュでもある。
彼の一番有名な作品『尼僧ヨアンナ』もそうです。


そういえば、ポーランドに近い国である、
ベルイマンの映画もひどく暗く、やはり洗練されていた。
というのをなんとなく思い出しました。
ベルイマンの方が救いはある気がするけれど。


これっぽちも救いのない映画を見たいときは、
ポーランド映画に限ります。
絶望に裏打ちされたポーランド映画。
感情は乾ききっている。
東ヨーロッパのジェームズ・ディーンと呼ばれた、
ズビグニエフ・チブルフスキーも『夜行列車』
に出ています。

ぜひ、ここ2年以内に行きたい国。
行って、やはり収容所も見ておかないといけないと思います。

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海馬浬弧
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自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
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