あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
1960年。原題『Shadows』
カサヴェテスのデビュー作。傑作です。
すべて、improvisationによって撮られた映画。
16ミリカメラをハーレムに持ち込んで、その時その場で即興的演出。
improvisationは、
いわゆるヌーヴェル・ヴァーグの監督に好んで用いられた手法と言われています。
(実際にはそうでもなかったらしいので、こういう言い方にしました)
現代の監督はあまり採らない手法ですが、
例えば、脚本がないという意味では、
ウォン・カーウァイ監督なんかのやり方に少し近い。
『アメリカの影』は見てすぐわかりますが、リアルです。
16ミリは基本的には、ルポルタージュなんかによく使われたものだし、
手持ちカメラの動きや、即興演出も、まるでドキュメンタリーですね。
不思議なことですが、映画がデジタルでキレイな映像になればなるほど、
映画らしさを感じられなくなる。
ツルっとした表面的な映像になると、
逆にリアルさを感じなくなるのはどうしてでしょうか。
目で見えている世界は、デジタルに近いのにね。
「粒子」によって成り立つフィルム映像は、見てて、
「映画だな」っていう特別感があります。
別世界感があります。
それだけに、35ミリよりもなお、16ミリは新鮮です。
以上が形式面。
内容は、一言で言うと、アメリカの人種問題です。
黒人と白人のハーフの家庭に生まれた、上から男・男・女の三兄妹の物語。
とりわけ、妹の話には焦点が当てられています。
上記のShadowsのジャケット写真も、その妹です。
チャールズ・ミンガスの曲もベストマッチ。
本作はアメリカという国の「自由」が
括弧付きであること、一筋縄ではいかない難しさを描いている。
私的には、真ん中の青年ベニーが、
ルー・リードに似ててかっこいいし、レリアはかわいいと思った。
なんていうか、暗くて、切ない映画なのです。
でも、なんとか這い上がろうとする映画でもあります。
ひどくアメリカらしい映画でした。
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海馬浬弧
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女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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