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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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宮崎駿さんの漫画『風の谷のナウシカ』について。


はっきり言って、
映画版は原作の素晴らしさの10分の1すら表現できていません。
それほど、原作の漫画は傑出した漫画なのです。


この漫画には思い入れがあります。
一体、何度繰り返して読んだことか。

この本のことを考えると、
なぜか自分の小さい時の読書体験を思い出します。
私が読書し始めたきっかけ。
それはたぶん世の多くの人と同様に、
親の本棚から、気になるタイトルの本を勝手に手に取った、
という行為です。

私の場合、それは第一に
『アドルフに告ぐ』であり、
『火の鳥』であり、
『ネオ・ファウスト』であり、
『ブッダ』であり、
『裂けた旅券』、『マスター・キートン』だったのでした。

上記の漫画は、繰り返し繰り返し読んだ。
飽きるほど読みましたね。
特に『ネオ・ファウスト』は気に入って、
ゲーテの『ファウスト』も新潮で買ってとりあえず読んでみたのでした。


『ナウシカ』もこれらの作品と同等の深い世界観を有しています。
宮崎駿さんはこれ一作あるだけでも天才と言える。
残念ながら息子さんは、全くこのレベルではない。

第一に自作がない。これにつきる。

近頃の監督には自作がない人が多すぎるし、
安易な伝記物・偉人伝が多すぎる。
殊に伝記系はハリウッド映画に最近多い。
実在した有名人の伝記物。

私が欲しているのはそういう既存の話の再現ではない。
全くの新しい話。
完全な創作です。
二次創作ではない。

そういう意味において、『ナウシカ』は凄い。
たぶん宮崎さんが何年もかけて温めた物語。

何が凄いって、ナウシカが実は単なるヒロインではないということ。
彼女はアンチ・ヒロインでもある。
ただし映画ではその側面は全く描かれない。
彼女は優しい道徳的な女性に過ぎない。
しかし、漫画に登場する彼女は、
とても複雑な女性なのです。

映画版では、そもそもトルメキア帝国に敵対するドルク側が
これっぽちも登場しない。
クシャナは第四皇女であり、その上に三人の兄、父である王がいることも
ちゃんと描かれない。
クシャナという人物がどのような生い立ちで、
帝国におけるどのような立場なのか、全く描かれていない。

腐海が生まれた理由、
そして腐海が無くなる日、
それが一体何を意味するのか、映画ではちゃんと描かれていない。
あるいは単に、腐海=悪いもの、のような図式になっている。


もちろん、映画は時間的制約があるので、
あえて図式的にし、
重要な部分を犠牲にしてでも完成させないといけないものです。
ゆえにあの仕上がりは仕方ない。


でも、本来の作品である漫画版を読んだことのない人がいるとすれば、
絶対に読んで欲しいと思う。
これほど優れた物語(ハイ・ファンタジー)を書いた日本人は、
たぶん他にいない。
小野不由美さんの『十二国記』もずば抜けていますが、
『ナウシカ』も強靱な想像力で考え抜かれた物語なのです。


いま読み返すと、多々メビウスないしはBDの影響を感じる本作。


最近のジブリは残念ながら、他人の作品の映画化ばかりで、
監督の自作がない。
他人の作品を映画化するのは「演出」でしかない。
黒澤の『羅生門』はしかし、ちょっとそれとも違う特異な成功例ですが……


自分の頭で考えた自分だけの物語。
それこそ新しい。

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海馬浬弧
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自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
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私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
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