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あらゆる事柄に関するレビューログ。 #kaibaricot
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1958年。チェコ。

実は現在、アニメーションをこつこつと制作中なので、
世界各国のアニメーションを見、研究もしています。
その一環として。


安部公房も絶賛したというゼマンの代表作。
原作はジュール・ヴェルヌ。

ゼマンはアニメーション監督として知られていますが、
この映画は厳密にはアニメーション映画ではない。
実写が主体。

チェコの天才シュヴァンクマイエルといい、
なかなか特異な監督なんですよね、ゼマンも。
一応、アニメーションという括りで、
語られやすい監督達なんですが、実写も全然あるし。
生きた人間が、アニメの中に入っているような感じ。
こういうデペイズマンというか、チェコには、
どうもこのコラージュ感覚が、人形文化の影響か、あるらしい。

シュヴァンクマイエルは奇妙でグロテスクな人形や、
動物の剥製を使ったりしますよね。
ゼマンは、特撮が凄い。
特に細部の描写が緻密。
どうやっているんだろう、あの遠近法は。

アニメーションというのは、映画を学ぶのに、
もっとも適した技法です。
とりわけ、絵コンテとカッティングについては、
嫌と言うほど考えさせられます。
どのようにして、静止画を映像にするか。
何枚の絵で動画にしていくか。
といったことを徹底的に考えないといけない。

閑話休題。

今、どっかでゼマン展やってなかったっけ……

あまり見るチャンスはないと思いますが、
機会があればぜひ見てみて下さい。

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1979年

宮崎駿なども絶賛して止まない、
世界を代表するアニメーション作家。

確かに凄いのです。

非常に寡作な監督ですが、
作品は皆、最高級の出来。
私的にも、アニメーション作家の中では群を抜いて、
一番であると確信しています。


日本のアニメーションに慣れ親しみ過ぎると、
このような作品に出くわさなくなるのは確かです。
どのような作品かというと、
つまり、切り絵アニメーション。

FC2動画でご覧になれます

アニメーションには様々なジャンルがあります。

日本はまずセルアニメーションが主流でした。
現在は、新海誠監督がほぼ一人で作り上げた『ほしのこえ』
などに代表されるように、
Adobeのソフト、After Effectsを使うのが主流。

他には、
ピングーなどのクレイアニメ。(粘土ですね)
川本喜八郎さんを代表とする人形アニメ。
川本さんは本場チェコでトルンカとかに人形アニメを学ぶ。
コ・ホードマン『砂の城』も砂人形アニメ。
フレドリック・バックが、アカデミーのアニメーション賞を
『木を植えた男』でとった際の手法、セルに手描き。
など、様々な手法があります。
それぞれの方が、自分に適した手法を選んでいます。
川本さんが人形を使う理由は、「情念」を表現するのには、
人形が最も適しているから、と理由なのです。
なるほど、それは文楽や能からも、感じられます。

さて、切り絵アニメーションは、
ヨーロッパではかなり主流の手法でしたが、
日本ではこの方法はほとんど出てこなかったと言っていい。
カレル・ゼマンも切り絵ですし。

川本喜八郎さんが安部公房の『詩人の生涯』を作ったくらいしか、
私には例が思い浮かばない。
(たぶん、きっとたくさんあるに違いないと思いますので、
知っている方いたら勉強不足な私に教えて下さい。)


さて、切り絵アニメーションは、
ノルシュテインをご覧になればすぐわかるのですが、
我々日本人の慣れ親しんだアニメーションと全然違う。
全く違う。

話の筋のたてかたもそもそも全然違うのだけれど、
切り絵になると、急に軽やかさがなくなるんですね。
一気に深みが増す。
非常に人間臭くなる。

ノルシュテインもご自身の口から語っておられます。
以下、少し引用すると。
「この精緻な切り絵手法こそ、表現を豊かに深め、
映画のもつ神秘性を失わせないために最上のアニメーション技法だ」

確かにそうなのです。
しかし、彼の言い分を少し敷衍し、逆手にとると、
こう言えるのではないでしょうか。

「切り絵手法は映画にしかむかない」と。

たぶんそうだと私は思います。
切り絵は続きものアニメに絶対にむかない。
その手間暇ももちろんですが、
日本のアニメ界でセルが主体となった理由はまさしくここにある。
日本はアニメと言えば続きもので、ストーリー重視でした。
いきおい、流れのいい絵柄が主体となるし、
手間を考えても合理的に違いない。

切り絵は映画にしかむかない。
つまり映画であれば力を存分に発揮する。
さらに言えば、切り絵は最長でも30分くらいがよいでしょう。
短編映画にしかむかない。
なぜかというに、長々と背景描写・説明、
登場人物の関係の説明などを必要としないからです。
あまりに単純化されたストーリーであるがため、
とてもシュールな印象を受ける作品も少なくない。

ノルシュテインの『話の話』は、
ぜひとも見て欲しい、切り絵アニメーションの最高傑作です。



去年、見た映画ですが、まだ書いてなかったので。

涼宮ハルヒ・シリーズをご存知でしょうか?

おそらく、このブログを読まれる方の半数は知っており、
半数は知らないと思います。
西宮出身の谷川流先生のラノベが原作。
(角川スニーカー文庫)

いわゆる、アニメを、単に腐女子やオタクが見るものと、
簡単に切って捨てないで欲しい。
たとえば、電撃文庫『とある〜』シリーズは
累計で1000万部も売り上げている。
ラノベ界はとても大きな市場を持っている。
ただし、現在は頭打ち観は否めないけれど。

さて、
涼宮ハルヒ・シリーズとは、
まず、誤解している人のために言うと、
これは純然たるSFライトノベルなのです。
ちょっとHな萌え系ものではない。

主人公である普通の高校生キョン(あだ名)の一人称形式、
独白形式により、全編語られる。
そして、ヒロインはもちろん涼宮ハルヒ。
ハルヒは実は世界を変えるほどの力の持ち主であるのに、
自分ではその力に全く気がついていない。

そして、後の重要キャラは、
まず長門有希(宇宙人)、朝比奈みくる(未来人)、
古泉一樹(超能力者)。
キョンとハルヒ、そしてこの三人を含め計五人を、SOS団という。
SOS団とは「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」の略です。

ハルヒが望んだことはすべて現実となってしまうので、
毎回みんながてんやわんやするわけです。
それどころか、おそらくこのキャラ達もハルヒが望んだから、
生を受けたキャラですらあり、みんなそれを自覚している。

まあ、ごちゃごちゃ、設定を説明しても仕方ないし面白くないので。

『消失』は、明らかに甲南病院の屋上。
甲南病院にはなじみがあるので、よくわかります。
この映画は(というかハルヒものは)全体的に、
一種のタイムパラドックスを扱っていて、
ハインラインの『夏への扉』なんかと少し似ている。

そして、なんといっても声優陣が非常に豪華。

ハルヒ:平野綾
長門:茅原実里
みくる:後藤邑子
キョン:杉田智和
古泉:小野大輔

すごいメンバーです。
だから完成度が非常に高い。
平野綾にいたっては、他の作品も全部、ハルヒに聞こえてしまう始末。
つまり、あんまりうまくないのだけど……。

もっとも驚愕したのは、涼宮ハルヒ・シリーズの中の、
「朝比奈みくるの冒険」エピソードでかかる、
「恋のミクル伝説」です。

あの後藤邑子さんの歌のはずしっぷりは、
計算され尽くされていて、
神がかり的な歌の仕上がりになっています。

私は、切に思うのですが、
宮崎駿映画は、声優に俳優を使い出してからおかしくなった。
最近の映画でも、たぶん様々な大人の事情で、
声優に俳優を使わざるを得ないかもしれないけれど、
アニメーションには絶対、声優です。
これは犯してはならない鉄則です。

俳優はすでに見た目を知っているし、アフレコも上手くない。
(成功した例は、美輪さんのモロくらいでしょう)
見た目を知っているということは、その時点ですでに、
キャラとのずれが生じている、ということになる。
(ただし、今の平野さんにもそれは十分適用できます)

もしお時間があるなら、アニメシリーズを全部DVDで見た後に、
『消失』を見てみて下さい。
いきなり『消失』から見ても、物語の3分の1も楽しめないので。


1986年に公開された本作が、現代版としてリメイクされました。
そこで、私は1986年版について書きます。

ドラえもん映画シリーズでも傑作と名高い。
『ドラえもん、のび太と日本誕生』も面白いけれど、
私のイチオシは、『鉄人兵団』です。

それというのも、本作には永遠のヒロインしずかちゃん以外に、
重要な役として、リルルというサイボーグが出てくる。
みなまで語りませんが、これが泣ける話なんですね。

そして、リメイク版にはあるのかわからないけれど、
リルルのセミヌードシーンが1986年版にはあったのです。
子供ながら、このシーンの印象が強くて何度も見返した記憶があります。

ドラえもんものとしては、典型的な道具、
「お座敷釣り堀」なんかが出てきて、なかなか面白い。

リルルは鉄人兵団側とのび太側の板挟みになり、苦しむ。
最後、リルルはどうなってしまうのか!?

今のドラえもんは、声優さんが、
たまごっち!のキャラ、「うわさっち」と同じ声なので、
なんか凹む。

もっと人間臭かったドラえもんがよかったと思います。


今敏お得意の髪型の女性。
私は好きじゃありません。

今敏の映画は、私は好きじゃありません。
はっきり言って面白くないと思います。
第一に、ごちゃごちゃしているしうるさい。
第二に、女性が魅力的じゃない。
第三に、ストーリーが雑。
第四に、絵が汚い。
本作も、この四つの条件がすべてあてはまります。
『千年女優』とかカスみたいな映画でした。

ストーリーは筒井康隆の小説が原作。
内容はからっぽ。
いい加減。
見てて飽き飽きした。
こういう映画好きっていうやつ、たぶんアホです。
初めの10分ほど見ただけで、これからどうなるかすべてわかる。

今敏さん追悼企画でNHKで放映された映画ですが、
つまらなかったです。
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海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
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