あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
監督:イングマール・ベルイマン
イングリット・チューリン、ヴィクトル・シェーストレーム
非常に優れた映画です。
題名からするとあまりそそられないタイトルにもかかわらず、
いろんな意味で野心的な映画です。
まず、師匠であるシェーストレームを主人公に起用し、
なおかつかなり手ひどく批判するという手法がすばらしい。
そしてある一日のことを描いただけなのに、夢などのシーンを駆使し、
多くの考えさせられることを盛り込むことに成功しています。
イーサク・ボルイ医学博士は、
名誉博士号授与式に出席するため、車で遠いところにある大学へ向かう。
どうやら問題をかかえているらしい息子の妻と、
そして昔の恋人と同じ名前のサーラ、サーラの友人二人を道中のっけることに。
途中、イーサクがなんどかまどろんで見る夢は、
かなり不快な夢です。
イーサクを徹底的に痛めつけるような、彼のこれまでの所行を裁く夢。
「老い」、「自己中心的」とたびたびののしられる。
苛烈な批判です。
妻が浮気するシーンを思い出させられたり、苦行です。
そんなイーサクの生き様や家族に、
どうしようもない孤独と屍の連鎖を見て取る、息子の妻。
彼女は子供が出来て生もうとしたら、夫に反対されたのです。
また、自分の子供もこの不気味な連鎖に巻き込まれるのではないかと不安に思う。
奇しくも名誉博士号の称号を得る日に、
彼は自分に愚者の烙印を押すわけです。
厳しい批判と否定。
しかしそれはたちまち自分自身にかえってくる自己否定であり自己批判です。
私はベルイマンとかなり似ている家庭感を持っているかもしれないと思う。
特に「連鎖」という言葉を使う点は、ひどく似ている。
彼は、常にこのテーマです。
ベルイマンは素晴らしい映画がほんとに多い。
PR
監督:イングマール・ベルイマン
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
イングリット・チューリン、ハリエット・アンデルセン、リヴ・ウルマン。
キャメラマンとして大好きな、スヴェン・ニクヴィストの撮影。
女優はスウェーデン映画界の大女優ばかり。
監督はスウェーデンの天才、ベルイマン。
この映画を見たのは、何度目でしょう。
私はもう、4回くらい見た気がします。
ベルイマンの映画には、いまだかつてはずれにあたったことがない。
彼は、かなり苛烈なサディストです。
そういう意味でも非常に映画監督に適していると思います。
スウェーデンには、ベルイマンの師匠であり、
俳優としても優れている、ヴィクトル・シェーストレーム監督がいます。
つまり、スウェーデン映画は歴史的土台がしっかりとあるのです。
閑話休題。
『叫びとささやき』ですが、サディスティックな映画です。
三姉妹の凍てついた人間関係とその使用人の話なのですが、
のっけから、子宮癌に苦しむ、次女アングネスの苦痛の叫びが始まる。
この次女アングネスの苦しみが半端じゃない。
これでもかというくらい、苦しみもだえる。
アグネスは死ぬまで、徹底的に肉体を痛めつけられる。
はっきり言ってこんな苦しみ方、見たことない。
日本人の一体どの女優が、こんな役をやれるのでしょうか。
文字通り、苦しみ、半狂乱にのたうちまわるアングネス。
それを見ていられない、長女カーリン、三女マリーア。
彼女たちも、血塗られた幻想の虜になっている。
それは言ってみれば、ささやき、でしょうか。
暗く、そして悲観的な映画です。
生きている長女も次女も、まさに屍的人生を送っている。
その憎しみと倦怠に耐えきれなくなりつつある。
一番怖いのは、死んだはずのアングネスが、
死体なのに動き出す、使用人アンナの、マリア・デラ・ピエタ的幻想です。
あれは気持ち悪い。
生きるということがこれほど苦痛に充ち満ちているとは。
さすがにやりすぎたと思ったのか、ベルイマンは、
一応、それでも最後には、穏やかなシーンをいれています。
とても素晴らしい映画です。
苦痛に苦しむアングネスは、それでも綺麗です。
現在は確か、アブドゥラ・イブラヒムとか名乗っていたと思います。
1973年ジャズディスク大賞銀賞受賞アルバムです。
ピアノソロアルバム。
この年の金賞はマッコイ・タイナーのアルバムで、やはりこれもピアノソロ。
マッコイ・タイナーといえば、コルトレーン・カルテットの一員で、
才能豊かなピアニストですが、ダラー・ブランドは個性が非常に豊か。
タイトルの通り、アフリカのリズム・展開で、独特な音楽を奏でます。
かなり繰り返しの多い、力強いリズムを刻んでいる。
ずっと聞いているとトリップしてしまいそうな感じ。
アフリカの土着的な祝祭を想像します。
ジャズのピアノソロには名盤が多いですが、
私はこの異色な一作を推したい。
キース・ジャレットなどではなく。
マル・ウォルドロンのAll aloneのピアノソロは非常に洗練されていますが、
こういう洗練されていない、アフリカの、自由なピアノもいいものですよ。
シシー・スペイセク。トミー・リー・ジョーンズ。
アカデミー7部門ノミネート。
シシー・スペイセクはこの映画で主演女優賞を獲得。
アメリカ、カントリー界の大御所ロレッタ・リンの伝記映画。
原題は、Coal Miner's daughter という。
ロレッタはブッチャー・ホラーというケンタッキー州の炭鉱の娘として生まれた。
兄弟姉妹がたくさんの貧乏大家族。
13歳で結婚。
そしてカントリー歌手として大成する。
なんだか、こういう映画を見てて思うのだけど、
いつも、ある一定の流れがあります。
はじめはなんとなしにはじめたことが。
↓
いつのまにやら成功しはじめ。
↓
そしてスランプに陥り。
↓
しかし苦難を乗り越え成功する。
いつもこの流れ。
みんなこういう風に生きていくの。
大成ってこういうこと。
そういう意味では、伝記映画のこの流れに少し飽きがきた気もする。
若かりし日の、トミー・リー・ジョーンズは今よりもワイルドで強そう。
なかなか気がつかなかった。
それにつけても、あの『キャリー』でキャリーを演じ、
一気に有名人となったシシー・スペイセクは歌がうまい。
とっても上手。
all songs sung by シシー・スペイセクとダンジェロ。
キャリーの時も変な顔だな〜と思っていたけど、
やっぱり変な顔でした。
カントリーはアメリカの演歌です。
『猟銃』は芥川賞受賞の『闘牛』とともに新潮文庫から手に入ります。
井上靖の作品の中でも初期作品にあたる。
短編なので、ぜひ読んで欲しい。
みなさん、
井上靖と聞くとダサイイメージがあるかもしれない。
国語の教科書で『しろばんば』とか『あすなろ物語』とか読むから。
しかし、井上靖はまず、第一級の詩人です。
彼の散文詩は大変優れています。
非常に詩的直感に優れている。
そのポエジーを遺憾なく発揮したのが、本作『猟銃』です。
『猟銃』はある意味、超主観的小説です。
というのも、
妻・愛人・愛人の娘からの三通の手紙で本作は成り立っています。
女性からの手紙三通。
それが一体なぜ、『猟銃』というタイトルなのか。
もちろん、主人公である男性の趣味は猟ですし、
『猟銃』という言葉には様々な意味が込められています。
一気に読み終えてみてください。
あなたは果たして愛する側なのか愛される側なのか。
考えさせられる作品で、大変素晴らしい小説です。
カレンダー
01 | 2025/02 | 03 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
リンク
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
海馬浬弧
性別:
女性
自己紹介:
言語学者、哲学者、文学者、サイバネティック学者である、
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
あらゆることに関するレビューログ。
私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
ブログ内検索
最古記事
(07/10)
(07/11)
(07/12)
(07/13)
(07/14)
P R
カウンター
アクセス解析