あらゆる事柄に関するレビューログ。
#kaibaricot
1977年〜80年にかけて作成された、シンディ・シャーマンの出世作。
セルフ・ポートレイトの流行を作り出したきっかけ。
シャーマン自信が様々な女優に扮し、
ありえたかもしれない映画スチール写真を自分で演出して作成。
私の大好きな写真集です。
自作自演なのですが、かなり似せている。
このマリリンとか。
顔の中身見たら、違うなって思うけど、
全体的にはよく似ている。
自作自演のフィクションってなんか好きですね。
シャーマン自作自演の変身写真は、
映画、広告、ポルノ、ファッションなど、
様々な大衆的な要素を取り込んでいます。
それを諧謔とセンスで咀嚼している。
この後、シャーマンはUntitledシリーズを、
よりグロテスクな方向へ進め、死体とかジャンキー、
フリークスへと変身していく。
そもそもが変身で、真実まがいのものを撮っているわけだから、
フィクションからドキュメンタリーに迫っていくという逆アプローチ。
カメラマンや写真家というのは、
「真実を撮る」という思考をどうしても重視するけれど、
シャーマンは違う。
限りなく真実に近いまがいものを撮る。
だからどこか風刺っぽくなる。
パロディみたくなる。
とても計算された変な切り口になる。
逆説的ですが「Untitled」というタイトルもいい。
一つのタイトルに回収されない、まがいもの写真群。
どっかで展示しないかと切に願います。
とりあえずは、ベッティナ・ランス見に行くかな〜と思う。
あれは必ずしもベッティナ・ランスの本領発揮じゃないけれど。
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プログレ四天王の一角、エマーソン・レイク&パーマー。
私の中の三大ボーカリストの一人、グレッグ・レイクが所属していた、
スーパープログレバンドです。
レイクの知的ボイスが聴きたくなった。
The sageはプログレと言っても、すこぶるシンプルな曲です。
この曲はムソグルスキーの『展覧会の絵』にヒントを得、
彼等が作成したコンセプトアルバムからの一曲。
このアルバムはライブ・アルバムなんですが、
とても凄い出来。
72年のイギリスのメロディー・メイカー誌で、
アルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得した『タルカス』も
確かに素晴らしいけれど、
私は『展覧会の絵』からEL&Pに入りました。
そのラストの曲がこれです。
The Runaways
ミュージックビデオ監督、写真家として独特の仕事を続ける、
フローリア・シギスモンディが監督。
彼女は、シンディ・シャーマンや、今ちょうど写美でやっている、
ベッティナ・ランス、ナン・ゴールディンなどの系譜を確実に受け継いでいる。
私は、全員好きです。
ランナウェイズ。
本格的なロックをやるガールズバンド。
ツインギターでヘヴィーな音をガンガン出す。
代表曲である『チェリーボム』をはじめて聞いたのは高校の頃。
ローリーがお勧めしてて聞いたんですね。
相当インパクト強かった。
あの下着姿、ガーターベルトで歌うシェリー・カリー。
バンドのメンバーは平均年齢16歳という信じられない若さ。
思いました。
やっぱり、アメリカは凄い。
日本人には絶対無理だな、と。
パワフルというか。
16、17歳くらいで、あんな生活考えられない。
ジョーン・ジェットの腹のくくり方とか半端じゃない。
日本のガールズロックで、あそこまでヘヴィーな音は奏でられない。
ZONEとか思い出して、そう思いました。
私の場合。
70年代ロックが大好きで、ロックの女王と言えば、
Joan Jettに他ならなかったです。
ランナウェイズ解散後、ジョーン・ジェットのソロデビュー作、
第1作『I Love Rock & Roll』(1981)はいつ聞いても素晴らしい。
ラストでクリムゾン&クローバーがかかると、
ほんと泣きそうでした。
他にも、ジョーン・ジェットの曲がかかると泣きそうだった。
Love is pain とか凄くいい曲なんですよ。
ロックで。
スローなロックが出来ると本物です。
それにしても、
ジョーン役の売り出し中若手女優、
クリステン・スチュワートがそっくりすぎる。
シェリー役のダコタ・ファニングはあんまり似ていない。
そして、ランナウェイズが解散に向かう契機は、
日本でのLIVEの頃だったんだなあということがよくわかった。
日本ってよくもわるくも、
色んなことに対する反応とか受容とかが他国より早いから、
彼女たちの離反のきっかけが、日本であったというのは、
なんとなくわかるような気がする。
日本ではいち早くランナウェイズを受け入れられる土壌が出来ていた。
(ただし、今は様々な国の状況に対する反応は、
少し遅い気がしないでもない)
私がこの映画を見てつとに感じたのは、
シェリー・カリーはある意味反抗心だけで、あそこまで行ってしまったから、
続けることが出来なくなった。
それに対してジョーン・ジェットは、本当に人生をロックに賭けていた。
たぶんそれは、彼女のセクシャルな部分に理由があるのではと思う。
ジョーン・ジェットは明確に、自分が家庭に入れない、
結婚できないことを自覚していたんだと思う。
解散寸前のランナウェイズをなんとか保とうと、
奮闘するのだけど、
ジョーン・ジェットがあんなに真面目で、
いい奴だったとは。
ほんと、泣けてくる。
彼女はシェリーを失い、
まるで妻と愛人を両方失った人の大打撃を食らう。
そこからDavid Bowieを思い出し、再起する。
彼女の居場所はロックにしかないから。
・・・他。
プロデューサー役のキムもいい。
あのイカれた役は最高にいい。
彼は、アリス・クーパーのプロデューサーでもあったとか、
「なるほど!」と独り合点しました。
「チェリー・ボム」をあんなに適当につくったんだろうか、と思う。
シェリーがDavid Bowie好きだったというのが、
個人的にはかなりグッと来ました。
Bowieは私の中でもカリスマなので。
グラムロックの頂点。かっこよすぎる。
今でも非常に良く聞きます。
Crimson & clover お聞き下さい。
特に、能町みね子さんのコーナー「折り合い!ランキング」
能町さんが行かれた、東北〜北関東思い出の海岸について。
いずれも今回の震災で大津波の被害に遭った場所です。
私はまだいずれの町へも行ったことがありません。
したがって大津波の前を知りません。
唯一「陸前富山」のみ、
その三駅手前の「松島海岸」なら行ったことがある程度。
実は、先日の三連休に、山形経由で仙山線、仙石線、
気仙沼線などを乗り継ごうと思っていたのですが、
震災の発生により行けませんでした。
能町さんが挙げられている所は、まさにそれらの路線の町です。
いずれも風光明媚で名が高い。
必ず私も巡ろうと思います。
心の底より、これらの町の一日も早い復興をお祈りしつつ、
拝読させて頂きました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう一つ、「宮崎哲弥のDVD教養主義」について少々。
この度、ワイダのDVDーBOX1がついに発売されたんですね。
抵抗三部作と呼ばれている、
『世代』『地下水道』『灰とダイヤモンド』を収録。
『灰とダイヤ』なんて、これまでにあってもおかしくないんだけど、
初のDVD化とか。信じがたい。
なんか、宮崎氏はやけにかたっ苦しいオチをつけています。
「政治の脱神話化を貫くために、映像の神話化が要請された」云々。
政治の脱神話化までは理解できますが、映像の神話化ってなんだ。
読んでみると、たぶん、簡単に図式化されない権力組織・闘争を、
映画によって描くのにワイダは成功した、
とかそういうことを言いたいのだろうけど、
映像の神話化って意味不明です。
そんなの「シニカル」どころか、ナンセンスです。
ワイダの抵抗三部作は、
確かに英雄的な革命、抵抗の成功を描くものでは決してない。
それどころか、複雑に絡み合う利害関係と、
味方の裏切りの連続、絶望につぐ絶望。敗走につぐ敗走。
まるで救いはない。
そのうえ、どこにも正義はない。
みんながみんな加害者で被害者で、
なおかつ、明確にそのジレンマを皆が自覚し、
懊悩している。
だから、映像は決して神話化されていない。
ヒーローは生まれない。
主人公すら神話化されない。
間違えてはいけない。
というか、バカなことを言ってはいけない。
神話化というと、なんだか無条件に美しいようですが、
ワイダの映画はあまりに人間的な映画なのです。
ワイダが描くのは、絶対に神々ではない。
例えば『地下水道』など、みんな汚物にまみれて、
それでもなお生きようともがき、のたうち回る。
確かにどの映画もシーシュポス的な抵抗ではありますが、
これぞ人間という、絶望の中での生き様をとことん追求した、
人間の話です。
徹底したリアリストです、ワイダは。
変にかっこつけた文章を弄するのは止めて欲しい、
と私は宮崎氏には言いたい。
ワイダの他作をちゃんと見たことあるのか、と思います。
かなり雑多な作品があるんです。
例えば『蠅取り紙』
このいかにも象徴的なタイトルの現代劇や、
ワイダ映画でも私は絶賛してやまない『夜の終わりに』
あるいは『約束の土地』
どの映画でもそんな馬鹿げた要請はされていない。
映像を神話化するということは、
一つの権力構造を映像の形式にも持ち込む、
ということだと考えられますが、
ワイダはそんなバカなことしていません。
それでは本末顚倒も甚だしい。
あくまで人間的な、非常に複雑な映画を作っているのです、ワイダは。
もうちょっとポーランドの歴史を考えてものを言って欲しい、と
僭越ながら、このレビューログはあくまで、
そういうスタンスなので申し上げておきます。
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海馬浬弧による本、映画、アニメ、音楽、その他、
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私生活については一切書きません。7カ国語堪能。
独断と偏見に充ち満ちているため、不快に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これも現代の歪みの一つだと思って、
どうかお許し下さいませ。
リンクは才能豊かな知人の方々なので、ぜひ。
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